在宅で働くママの生活やリアルな現状、隠された本音を紹介していく「在宅ママインタビュー」。2回目となる今回は、Webデザインをメインに幅広く活躍するS子さんです。
■プロフィール
名前:S子 さん
年齢:35歳
職種:デザイナー
お子さん:3歳
居住地:東北地方
ワークスタイル:フリーランス(個人事業主)
■簡単な経歴
2006年:大学卒業
2007〜2016年:ウェブ制作会社に勤務(2社)
2016年:出産を期に実家に引っ越し
2017年:育休明けに退職・開業。元の会社と業務委託契約に切り替え、仕事復帰。
■1日のタイムスケジュール
7時:起床・着替え・身支度
8時:朝食
8時半〜:出発準備・保育園送迎
9時:仕事開始
16時過ぎ:仕事終了・お迎え
17時:夕飯準備
18時:夕飯
19時:片付け・遊び
19時半 :入浴
20時:遊び、歯磨き、絵本
21時過ぎ:子ども就寝(たまに一緒寝落ち)
22時半:自由時間・仕事など
中学生の時から美術関係の道に進もうと決めていた。
ーまずは、S子さんの仕事内容を聞かせてください。
S子さん:
デザイナーとして、主にWebデザインの仕事をしています。現在は企業のブランドサイトの更新や、オンラインショップの運用などを行っています。
ーそもそもデザイナーになったきっかけは何だったんですか?
S子さん:
もともと、小さいころから絵を描くのが好きだったんですよね。中学生の時には美術関係の道に進もうと決めていました。それで、画塾に通いながら受験対策をし、高校は県内の美術科のある学校に入りました。高校2年の時には「デザイナーになりたい」と思いが固まっていました。
ーかなり早い段階で進路目標を決めていたんですね。
S子さん:
そうですね。進路について先生に相談すると「ならば、浪人せず現役でデザイン系の大学に進学するのが良い」というアドバイスをいただいたので、そこからはここと決めた大学の受験に向け実技や勉強をとにかく頑張り、関西圏の芸大に進学しました。
ー大学卒業後はすぐにデザインの道へと進まれたのですか?
S子さん:
いいえ、就活でデザイン事務所を受けましたがうまくいきませんでした。そのため、初めはアパレル会社に勤めていたんです。そこではデザイン部門に所属していたんですが、「まずは店舗に立って現場のことを知る」というのがその会社の掟のようなものだったので、デザイン関連の仕事に携われる機会は全くありませんでした。慣れない接客業で、しかも男性服の担当だったので分からないことばかりの環境ということもあり、そのうちにどんどん自分の中で「これは私のやりたいことではない」という気持ちが膨らみ、退職を決意しました。そんな矢先に、大学の先生に紹介してもらったのがWeb制作会社でした。
初めて作ったのはWebサイトの「ボタン」だった。
ーWebの仕事はそれまで未経験ですよね?
S子さん:
はい。私がその会社に入社した2006年当時は、Webデザイナーという仕事はまだまだメジャーではなかったですし、私がやりたかったのは「紙のデザイン」でした。ただ、ずっとデザインの仕事がしたかった私にとっては、「デザインの仕事ができる」というだけで嬉しかったんですよね。初めて依頼されて作ったのは、Webサイトのパーツの「ボタン」でした。
ーそこからS子さんのWebデザイナーとしての人生が幕を開けたんですね。Webの知識は先輩などから教えてもらっていたんですか?
S子さん:
その会社には、デザイナーは私を含めて2人しかおらず、もう1人の方も他の会社から出向されていたので、誰かから何かを教えてもらうというのはなかなか難しい環境でした。なので、他社サイトのデザインを模写してみたり、先輩デザイナーの補助的な作業をしたり、自宅ではブログのデザインをしてみたり、自分で撮影した写真を加工したり…と独学で勉強していました。
ーそういった努力が積み重なって、今では数多くのデザインを手掛けるWebデザイナーになったんですね。
S子さんは初めは会社勤務でしたが、いつから在宅を始めたんでしょうか?
S子さん:
2017年春からです。未婚で子どもを産んだので、子育てしながら仕事をするのは難しいと判断して、関西から東北の実家に戻りました。ただ、私が勤めていた会社は、当時はリモートワークの制度が確立していなかったので退職し、その会社と業務委託契約を結ぶことになりました。
出産を機に、在宅での仕事をスタート。
ー同じ会社の仕事とはいえ、在宅ワークになることで大変なことや不安はありませんでしたか?
S子さん:
初めは不安もありましたが、勤めていた会社のご厚意もあって、ほぼ会社員時代と同じような環境で仕事ができました。セキュリティの関係上、パソコンも会社から支給していただいたものを使っています。また、会社とは年に1回は面談をして、給与や勤務時間のことも相談させてもらっているので、特に不便に感じることはありませんでした。ただ、子育てしていると時間に限りがあるので、昔と比べて、デザインはクオリティよりスピードを重視するようになりました。
ー子どもが生まれると時間の使い方はがらっと変わりますよね。
S子さん:
在宅だと1人で黙々と作業することになるので、知識を誰かと共有したりインプットする機会が減ったことに対する焦りはあります。また、動かなくなるので運動不足だなとも(笑)。
ー他の在宅ママさんでも同じように思っている方は多いでしょうね。
逆に、在宅で良かったと思うことは何ですか?
S子さん:
良かったことはたくさんあります。まず通勤時間がないですし、子どもが体調を崩してもすぐに迎えに行けます。休憩時間に家事もできますね。あとは、私が住んでいるところは田舎なので、すぐそばに自然がたくさんあって気持ちが良いです。庭の木や花を飾ったり、鳥の声を聞きながら仕事しています。今の季節だと白鳥がよく飛んでくるので、窓を開けて眺めることもあります。
ー素敵ですね!仕事の合間にほっと一息つけるような時間があるのは良いことですね。
ー在宅で働く上で気を付けていることはありますか?
S子さん:
万全な状態で仕事ができるように、極力は無理はしないようにしています。例えば、夜に仕事はしないようにするとか。とにかく寝ることを大事にしていますね。あとは、在宅はいつでも仕事ができてしまう環境ともいえるので、仕事をしすぎないように気を付けて、子どもと遊ぶ時間を大切にしています。
ー体調が万全でないと、仕事にも集中できないですもんね。
今後は、どのように暮らしていきたいと思っていますか?
S子さん:
フリーランスとして自分らしい仕事も増やしていきたいと思っています。今でもDMやリーフレット作成など、Webに限らず紙の仕事もしていますが、もっと活動の幅を広げたいです。
私はコーディングができないので、例えばオンラインの講座を受けて勉強したり、セミナーやイベントに参加して情報をインプットする機会を増やしていきたいです。
あとは、とにかくモノを作りたいです。例えば、子ども向けのアプリを企画からデザインまで手掛けてみたいですし、好き勝手なサイトも作りたいですし、刺繍もしたい。色んなグッズも作りたい。写真も撮りたい。知り合いに美術系の人が多いので、そういう方たちと組んで何かを一緒に生み出すことにも興味があります。今後もずっと、デザインだけに関わらず、何かを作る仕事を続けていきたいです。
ー本当にモノを作ることが大好きなんですね。
最後に、これから在宅で働きたいと考えているママさんたちにメッセージをお願いします。
S子さん:
ひと昔前までは通勤して会社で働くというのが当たり前でしたが、最近は働き方も多様化していて、自分で働き方を決めていける時代だと感じています。働き方を変えて自分の生活も変えていける、それが在宅の良いところなのかなって思います。実際に在宅で働いてみて、対面でのコミュニケーションは取れないものの、問題なく仕事は回せているので、もっと在宅での働き方が広まるといいなと思います。
ーS子さんがこれからどのような作品を世に生み出していくのか楽しみです。
ありがとうございました!
■S子さんのおすすめツール
・Toggle(案件毎の時間管理)
・Trello(細かいタスク管理)
・Backlog(案件の進行はすべてここで行います)
どれもPC/SPどちらでも使用できるので、パソコンから離れている時でも進捗を確認できます。
他にも、自宅で作業する上で
・いい椅子(ボロボロの椅子からオカムラの椅子に買い換えました)
・いいお香(気分転換になります)
・パネルヒーター(足元用に買いました)
などが役立っているそうです。