1974年の設立以来、サッシをはじめとする住宅設備機器の販売において、リーディングカンパニーの座を築いている八尾トーヨー住器株式会社。
今回は、こちらの代表取締役である金子真也さんに、働きやすくするための社内の取り組みや女性を取り巻く仕事環境の変化についてお話を伺いました。
働きやすくするための社内の取り組みや課題点
➖働きやすくするための社内の取り組みや課題点について教えてください。
テレワークという言葉が一般的ではない頃から、
「デジタルを有効に使い仕事をしやすい環境を作る」
という取り組みを始めました。
その頃は、働き方改革というような概念はまだなかったですね…。弊社でも長時間労働が一般的でしたから。デジタルの環境も整っておらず、当時はパソコンもその部署に1台、という状態でした。
弊社では17時半が終業時間定時。その時間には帰宅できるようにしたい、みんなが気分よく仕事ができるような環境にしたいという想いは当時からあったんです。
デジタルを取り入れ、慣れていくと同時にテレワークが世の中に浸透しつつあったので、うちでも取り入れてみようと決意しました。
私はこの会社の二代目です。昔ながらの中小企業ですので、私の母親もフルタイムで、経理事務の仕事をしていました。
決して恨みではないんですが(笑)、自分が子ども時代は母が働いている間はほったらかされていたなと感じていたんです。
今、5人の子どもを育てていますが、5人を育てるには、専業主婦でないとなかなか回らないんですよね。
子ども時代と現在の自分の状況を経て、子育てに邁進している女性が働くことは本当に大変だなと思うようになりました。
今年の4月は、嬉しいことに女性の営業希望者が4名入社してくれました。
昔の考え方ということをご理解いただきたいのですが…子育てしている人達は、やっぱりその急な用事で抜けたりだとか、休むことが避けられない。
以前の当社は、その点をネックととらえ、子育て層の採用を積極的ではない状態だったんですね。そこに私は疑問を感じていました。
出産や育児や介護など、ライフステージが劇的に変化したとしても、楽しく継続して仕事ができるような会社でなければ、女性だけでなく男性にとってもいい会社にはならないでしょう。
男女で不公平感がある、子育てをしている・していないという基準で採用を続けていけばきっと企業として成り立たないと思いました。
女性が働きやすい環境は何だろうと模索していた2019年頃、ちょうど子育て世代のメンバーが育休から明けることに。
彼女がいた事務所が支店の統廃合でなくなり、自宅から距離があることから、思い切ってフルタイムの在宅勤務にしたらどうだろうという提案からスタートしました。これからは育児と同様に、介護をするメンバーの問題も出てくると思ったからです。介護にはお金が必要なはずなのに、夫婦どちらかが仕事を辞めて介護中心の生活をしなくてはならない、という話もよく聞いていました。実際、介護をする世代も社内で増えてきています。
現在在宅勤務をしている社員には、
「次世代につなげていきたいので、ノウハウ作りに協力して欲しい。」
とお願いしています。
2019年にこのような下地ができていたので、2020年コロナ禍に突入してしまった時に、事務系のメンバーや様々な職種のメンバーが在宅勤務にスムーズに移行できたのだと思います。
➖在宅勤務は2019年にスタートされて、2020年のコロナ禍においてはスムーズに在宅勤務に移行されたのでしょうか?
最初は、決してスムーズではなかったですね!
継続したので、みんな少しずつ慣れていきました。
➖長く働かれている社員の反応はどうでしたか?やっぱり戸惑われていたのでしょうか?
正直言うと…色々とありましたね!
その昔、営業では5枚複写の伝票を利用していましたから。
そこから営業のメンバー全員にSurfaceを配布して、電子の伝票を回すようにしましたが…
「こんなやり方だと仕事が回らない!」と、かなり反発はありました。
いろいろ聞こえてきたものの、複写伝票の発注を止めてしまいました(笑)。だから、渋々ながらもやらざるを得ない状態に。
それが5年前くらいの話ですけど、今では、「紙に戻す?」と言うと、「それは止めてください!」と言われます(笑)。
みんな、変わるのがやっぱり嫌ですよね。
何か新しいことを始めようとした時に、できない理由を並べることの方が多いですが、過渡期かなと思ってあまり気にせず進めました。
ママ社員を取り巻く、働く環境の変化
➖1974年に創業されて現在に至るまで、働くママを取り巻く環境はどのように変化されましたか?
昔はひどかったと思います。
これはうちに限ったことではないのかもしれませんが、
「女性はもう簡単な仕事だけやっとったらいいよ。」
という感じでした。
私が入社した2000年頃の八尾トーヨー住器では、補助的な仕事しか携わっていなかったと思いますし、逆にそれだけやってくれたら何も言われないというか…。
建築業界は男性社員が中心でしたし、女性との接し方が苦手なメンバーも多かったんです。
女性が活躍できるような環境を整えるにはどうしたらいいのか、女性がもっとイキイキとお仕事してもらうにはどうしたらいいか…といったことはほとんど考えてなかったと思います。
私は二代目として入社したので、あらゆる部署の業務を知っておく必要があり、しばらく女性社員が中心となっている発注や見積の部署に所属しました。
その部署を会社としては、あまり重要視されていなかったと思います。ただ、どんな部署に入っても、優秀な人はいる。真面目に一生懸命に仕事に取り組む人がいます。だからこそ、
「この人たちが、やりがいを持って働けるような環境を作っていくべきじゃないかな。」
と思いました。
ママ社員の魅力は!?
➖ママ社員さんたちの魅力は何でしょうか?
みんな明るく、前向き!これは女性社員、ママ社員に限らずですが、もうみんな真面目に一生懸命です!
お客様あっての企業なので、お客様に向けて一生懸命でいなくてはいけないところ、以前は自分の都合を優先する人もいましたし、一生懸命の向きがバラバラでした。
現在では、お客様にとても真摯に対応している社員が多いです。
八尾トーヨーで求める人材は?
➖御社で求める人材はどのような方でしょうか?
お客様や会社の仲間に対して
「喜んでもらうことが楽しみ!」
「何ができるのか?」
と自発的に考えてくれるメンバーと一緒にお仕事ができたらいいなと思っています。
金子社長が代表として努めていること
➖金子社長が代表取締役として努めていることはどんなことでしょうか?
私は「社長=エライ」と思われることがあまり好きではないのです。
単に社長という役割をさせてもらっているだけですし、社長だからと言ってえらいわけじゃない。
私ができないことをできる・やってくれるメンバーもたくさんいますからね。
メンバーと一緒に、お客さんに喜んでもらえるような仕事ができて、結果として売上げて利益をいただけたら、それをみんなで分ける。みんなで楽しく仕事して、それぞれいい生活できればいいなと思っています。
よく組織はピラミッドみたいな形で表現されることがあります。
私の考えは、メンバーたちが上の位置で、私はその逆三角形を支えているというイメージですね。
その代わりに、逆三角形は不安定なので、その軸をどこに置くのか、どのようにバランスを取るのかは任せてもらいたい。
「会社のメンバーが、どうやったら気持ちよく働いてもらえるのか」
それを考えるのが、私の役割だと思っているんですよ。
趣味をしている時って、時間を忘れて没頭しますよね。仕事も一緒で、やりがいを感じて、気分良く楽しく仕事してもらえば、結果として、お客様に対するサービスの質も上がり、お客様に私たちを選んでもらうことにもつながります。
だからこそ、一緒に働くメンバーが、いかに気持ちよく仕事してもらえるかを常に考え、仕事がうまくいかなかったときの責任は取ることが社長の仕事だと思っています。
次回は、八尾トーヨー住器株式会社で取り組まれている「SDGs」についてお届けします!