クラウド型のCRMシステム「Synergy!」を中心に、企業のデジタルマーケティング活動を支援するシナジーマーケティング株式会社。コロナ禍をきっかけに全社でテレワークを開始し、一人ひとりに合った働き方をこれまでより柔軟に選択できるようになりました。
今回は、シナジーマーケティング株式会社の『働きやすさ』を支える総務部門の房本 穂濤さんに、テレワーク環境下でも「生活の質と仕事の質が上がった」というさまざまな取り組みについてお話を伺いました。
目次
シナジーマーケティング株式会社について
ー御社の事業内容を教えてください。
デジタルマーケティングでの顧客データ管理と活用に最適なCRMシステム「Synergy!」、Salesforce上で効率的なメールマーケティングなどを実現する「Synergy!LEAD」をはじめとする国産クラウドサービスや、マーケティングDXの推進を人的支援する「DX BOOSTER」などの提供で、お客様のデジタルマーケティング活動の最適化に貢献しています。
「お客様=ファン」と「共感」でつながる関係を育み、そこから新しい価値を生み出すこと『Create Synergy with FAN』をミッションに掲げ、お客様のデジタルマーケティング活動を分析から企画・設計、運用、効果検証まで、クラウドサービスと人的サービスで、総合的に支援する企業です。
ー働きやすい環境への取り組みと、社内からの反応について教えてください。
2021年1月に、弊社では働き方のルールを大きく変えました。
具体的には、テレワークの制度化、より柔軟な勤務時間、副業のオープン化などです。
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テレワーク制度化の話は以前から出ていましたが、コロナにより大きく議論が前進しました。
テレワークで「生活の質・仕事の質の両方で良い効果」
ーコロナ禍で業績に苦心した企業が多い中、御社は2020年に最高益を達成されましたね。素晴らしいです!
2020年4月、一回目の緊急事態宣言をきっかけに、半ば強制的に全社的にテレワークを始めました。
社員それぞれが環境に適応しようと努力してくれたおかげで、コロナ禍でも安定して事業の継続ができました。
働く場所を社員自ら選べる制度にしたことで、社員からは
「業務に集中できるようになり、仕事の質が上がった」
「自分の時間が増えて、趣味や勉強にあてられる」
「家族との時間が増えて、子どもの成長をそばで見られるようになった」
など、生活の質・仕事の質の両方で良い効果があったという声が多くあがりました。
ー課題はありますか?
普段の業務はテレワークベースでも問題ない事が多いですが、やはりオフラインが必要な場面もあるように感じます。
その対応の1つとして、オフィスの役割を再定義しました。リアルで社員同士がコミュニケーションを取る場所として、また、お客様を招く場所として最適化をはかっている最中です。
テレワークで関係性が希薄に? ワーク・エンゲージメント向上に注力
ーコミュニケーション不足の問題はどのように対応されていますか?
コミュニケーション不足にならないよう、オンライン・オフライン両方で積極的にコミュニケーションをとっているチームが多いですね。
例えば、「週1日は出社する」という決まりをチーム内で作ったり、有志によるオンライン勉強会が活発に開催されていたり、新入社員を紹介するWeb番組を企画したりしています。
現在は、出社と在宅を選べる制度になっているので、現場ではコミュニケーション不足と感じたときなど必要なシーンでは出社する、ということにしているチームも多いと感じます。
テレワークでは関係性が希薄になるという懸念がありますよね。弊社では、人事を中心に働きやすさだけではなく、よりポジティブなワーク・エンゲージメントが育まれる施策を体系的に行っています。
縦軸に『働きがい』『働きやすさ』『心身のコンディション』を、横軸に『入社前』『オンボーディング』『配属』『成果・評価』『退職』といった社員のエンプロイジャーニーを設定して、各カテゴリでさまざまな取り組みを行っています。
具体的には、OJTや1on1、メンター支援、朝礼・全社イベント、定期的な面談、Slackでのコミュニケーション、『社員ディレクトリ』で社員のスキルや経歴を可視化する、労務事案の管理、定期的なサーベイなどです。
オンラインでも業務がスムーズに進められるよう、サポートをしています。
ーなるほど。かなり力を入れていらっしゃるのですね!
新メンバー歓迎! 『新人さんいらっしゃい』
ー昨今、テレワークの課題としてあげられることが多い『新メンバーの定着支援』についてはいかがですか?
入社したばかりのオンボーディングの段階では出社頻度を増やし、OJTを担当する社員との接触機会を増やすことで定着や育成を支援しています。
なお、既存の従業員に対しては、オンラインと対面の両方で社内イベントを年数回おこなっています。先日も『ビアバスト』という飲み会を社内の会議室で実施しました。
後は、各部署で自由にいろいろ取り組みを行っている感じですね。
他にも、『コミュニケーション』『関係性構築』『カルチャー・理念の浸透』といったカテゴリに分けてさまざまな取り組みを行っています。
ー個人的には、『新人さんいらっしゃい』という取り組みが気になります。
テレワーク環境下では新メンバーが入ったことすら知らないということが起こります。
ですので、どんな経歴で、どんな人となりなのか、というのをインタビューすることでコミュニケーションの一助になればと考えて有志で企画・運営をしています。
新入社員数名をゲストに迎えて、これまでの経歴や入社のきっかけ、趣味などをインタビューするのですが、みなさん緊張しながらもたくさん話してくれますし、「会話のきっかけになった」という声もあがっています。
コーチングやeラーニングなど充実した教育制度
ー他にはどのような取り組みがありますか?
社員の成長支援という面では、スキルアップ・キャリア形成に向けた研修などの機会提供をここ数年で数倍に増やしています。
希望者にはコーチングで今後のキャリアを相談できる機会をもうけたり、eラーニングの制度を整えたりしています。
ーそのような取り組みそのものが、御社の文化として根付いているのでしょうか?
弊社は、2年前にYahoo!グループの傘下から抜けたのを機に、ビジョン・ミッション・行動指針を刷新しました。
現在は、新しいビジョン・ミッション・行動指針の浸透に向けて、さまざまな取り組みを行っている段階です。
その中で働き方の自由度を高めることにより、社員のパフォーマンスが高まり、同時にワーク・エンゲージメントも高まるようになればと考えています。
房本さんの働き方
ー次は、2児の母である房本さんの実際の働き方についてお聞かせください。まず、いつから御社で稼働されているのでしょうか?
2011年に、新卒で入社しました。当時は大阪で採用され、入社直後に東京に異動しました。子どもが生まれてからは、神奈川県に住んでいます。
ー現在の業務内容を教えてください。
総務全般を担当しています。具体的には、給与計算や労務関連業務、組織・規程管理などですね。
ここ数年は、コロナ対応や働き方制度の設計、オフィスリニューアルなどにも携わりました。変化が大きく大変なことも多いですが、社員が成果を出すための土台作りだと思っています。
ー現在の働き方のメリットと課題について教えてください。
自分で働く場所・時間を選べるようになったことで、仕事の質が向上し、家族・友人との時間や自分のために使う時間を持てるようになりました。
私はフルタイムで働いているのですが、18時までには保育園のお迎えに行き、仕事が残っているときは20時ごろから仕事を再開することもあります。
課題は、同僚のちょっとした変化に気づきにくい・気づかれにくいことですね。
ー房本さんは、コミュニケーション不足を感じることはありますか?
私以外のメンバーは全員大阪にいるのですが、オンラインで朝会を行っていますし、すぐに会話ができる環境なので私個人としてはコミュニケーション不足を感じていないですね。社歴が長いというのも理由の一つかもしれません。
ただ、社歴が浅いメンバーの場合、社内で関係性が構築されるまではサポートが必要だと感じています。
同僚のちょっとした変化や、「今日ちょっと元気ないな」ということはオンラインでは感じることが難しい。
だからこそ、労務担当者としてどのように取り組んでいくか、現在は社員の声を聞きながら模索している状態です。
育休復帰と同時に新しい部署に異動! ゼロからの再スタート
ー育休を取得されて、どう感じましたか?
2回取得し、同僚には負担をかけてしまったと思いますが、休職に入るときは、「気にしなくて良い」と言ってお祝いの言葉と一緒に送り出してくれてありがたかったです。
大変だと感じたのは、行政や労務関係で提出する書類がたくさんあったこと。育休の後半は、休むことに飽きてしまって、外に出たい気持ちが大きかったですね。
ー育休前とは違う部署で仕事復帰されたそうですね。
はい。1人目の育休復帰の際は、育休前と同じポジション(広報)で復帰したのですが、2人目は復帰前の面談で総務配属の話をいただき、未経験の部署に復帰しました。
広報は引き継いでから休職に入ったこともあって、別部署での復帰になるかなと想像はしていましたが、正直意外でした。
ただ、私は元々最前線で活躍する方のサポートをしたいという気持ちがあったので、会社の方もそれを汲んでくださったのではないかなと思います。
ーでは、2人目の復帰の際は、ゼロからの再スタートだったのですね。
そうですね。1年以上休んでいたので、会社のルール的なことやツールなども全て忘れていましたし、知識や経験といったベースがない部署に配属されたので、新入社員と同じ状態で大変でした。
さらにここ数年は、Yahoo!グループからの離脱、社屋移転、コロナ禍と会社的に大きな変化があり、バックオフィスとしてはバタバタしていました。
周りの方に支えていただき、やりながら・走りながら覚えるという感じです。
ー復職の時、お子さんのことはどうされてましたか?
上の子の時は、保育園に入ることができず夫の実家に預かってもらいましたが、下の子の時は2人とも同時に保育園に入園できたタイミングで復職しました。ただ、出社直後や外出・会議中にたびたび園からの呼び出しがあり、思うように仕事が進まない、できないもどかしさを感じることが多かったです。「今月は何日出社したっけ?」という状態でしたね。上の子が小学生になった時は、親の心配をよそに、毎日楽しそうに学校と学童に通っています。
コロナ禍以前のように毎日出社する働き方だったら、きっと今も時短勤務だったと思いますし、民間の学童を利用するなどしていたと思います。
テレワークだから、子どもに「おかえり」と言ってあげられる
ー育児休暇以外に、子育てに伴い取得した会社の制度はありますか?
利用している制度はいくつかあります。
● 積立休暇:期限切れの有休を積み立てることができ、自分の病気や家族の看護な
どに利用できます。
● 2時間休:2時間単位の有給休暇。ちょっと病院に行く、などに便利です。
● フレックスタイム制度:16時にあがって予防接種に連れていくことができます。
● 分割勤務:2021年1月に開始した制度。コアタイム以外は中抜けができるので、2時間休と使い分けができます。
● テレワーク:2021年1月に正式に制度化。朝の始業前や昼休みに家事や買い物ができるので生活の質がよくなりました。
ーさまざまな制度を活用されているんですね。具体的には、生活の質はどのように向上しましたか?
まずは、毎日の通勤にかかる体力的・時間的な負担が大幅に減りました。
あとは、料理をする時間が増えたり、隙間時間に掃除ができたり……。一つひとつは小さなことなのですが、そういうことが重なって生活の質が向上したと感じます。小学校から帰ってきた子どもに「おかえり」と言って迎えてあげられることは、母親としてとても嬉しいです。
私の母親はずっと外で働いていたので、学校から帰ってきて「ただいま」と言った記憶が私にはほとんどないのです。
子ども心に、母親に「おかえり」と言ってほしい気持ちがずっとあったので…、今の働き方はありがたい限りですね。
ー良いと感じている会社の制度はありますか?
男性の育休取得が増えているのはとても嬉しいです。
あとは、介護休暇ですね。まだ実績が少なく社員への案内も不十分なので、これから整えていきたいです。
“ひとりの人間”としてイキイキと働く姿を子どもに見せたい
ー今後のご自身のキャリアをどのようにしたいと考えていらっしゃいますか。
会社の基盤を担う部署として、守るべきところは守りつつ、会社や社員が新たなチャレンジをするとき、彼らが事業に集中するために、最適な体制でバックアップできるよう知識・守備範囲を広げていきたいです。
ー母親として、はどうでしょうか?
母としてというよりも、“ひとり1人の人間”として、イキイキと楽しく働いている姿を子どもに見せたいですね。
ー本日はありがとうございました!
シナジーマーケティング株式会社 https://www.synergy-marketing.co.jp/
職業:コーポレート部 総務労務グループ マネージャ
お子さんの年齢:7才、4才
居住地:神奈川県
働き方:フルタイム、テレワーク