自分と同じ思いをしてほしくないから 子育てを楽しみながら、キャリアを積める会社にしたい

国内外で8カ所に拠点を置くマーケティングコミュニケーションの総合プロデュースを担う「株式会社フラッグ」。同社で働きやすい環境整備に日々取り組むのが、コーポレートデザイン部のマネージャーの田上さん。2児のママでもある田上さんは、入社半年たらずで子育てに関する新たな休暇制度を提案、採用されたそうです。そんな同社の働きやすい職場環境やご自身の働き方について話をお聞きしました。

田上友紀さん プロフィール

職業:株式会社フラッグ コーポレートデザイン部 マネージャー
お子さんの年齢:中2、小6
居住地:東京都
勤務形態:正社員(管理監督者)

入社半年で新たな「子ども子育て休暇」を提案

ー御社の事業内容を教えてください。

「人々の熱い想いに寄り添い、想像力と創造力で世界をつなぐ」をパーパスに掲げるマーケティングコミュニケーション会社です。
映画・エンタメコンテンツから一般企業の商材まで幅広く担当してきました。近年は、ソーシャルメディアマーケティングを中心としたデジタルプロモーション事業をメインに、映像制作、Web 制作、ライブ配信、VRやARといったインタラクティブコンテンツの制作までワンストップで提供しています。

ー働きやすい環境への取り組み、それに対する社内での反応はいかがでしょうか?

働きやすい環境には、制度面・風土面の両方が必要だと考えています。 制度としては、未就学児を養育する従業員に対し「子ども子育て休暇」という有給の休暇を年5日付与しています。看護休暇と異なり、子どもに関することなら何に使っても良いという制度です。

ー「子ども子育て休暇」は、田上さんが入社半年足らずの時期に提案されたとか。

入社時、子どもは小1と(保育園の)年中でした。当時は休暇に関して法定どおりで、もっと子どもに関して使える休みがあればいいなという個人的な思いと、これから子育てに差し掛かるであろう年代が社内に多いという状況がありました。そこで、子育て中の社員に、どんな制度があったら利用しやすいかヒアリングした上で、提案しました。

看護休暇を有給にするという案もあったのですが、もっと子育てを楽しめる制度のほうが意味があるのではということで、現在の「子どもに関することなら何に使っても良い」というかたちになりました。制度を使って、「子どもと遊びに行きました」「子どもと2人旅をしました」といった声が増えており、嬉しく思っています。

ーいいと思ったものは、柔軟に取り入れる風土があるんですね。

そうですね。柔軟な対応や風通しのよさは、会社のよいカルチャーだと思っています。

当社ではハイブリッドワークを実施しており、リモートワークと出社を併用することで働きやすさも増していると感じています。入社して1カ月間のオンボーディング期間は週3以上の出社、週1日以上は原則出社というのを最低ラインのルールとしていて、業務内容や部署によって、柔軟に勤務体制を組み立てています。

風土面でも、男性が長期育休を取得したり、近況報告ミーティングで育児が大変という話を気軽に出来たり、保育園からの呼び出しにパパママ関係なく対応したりしている姿など見ると、固定的な性別役割分担意識はないと感じています。

その理由の一つとして、マネジメント層を中心に、会社の都合ではなく、社員一人一人の人生を優先する思想を持っている人が多いということが、挙げられると思います。

仕事を休むことでキャリアが止まることや、周囲からの声を心配して、長期の育休をとることをためらう男性がいるという話も聞きますが、当社では全くそんなことはありません。現に、数年前に半年間の育休を取った男性社員も、今はマネジメント層にキャリアアップしています。

ーでは、課題は何かありますか?

課題は特に感じていませんが、子育て世代にとってだけではなく、すべての社員にとって働きやすい会社にしていきたいと考えています。それは、自分のやりたい働き方、ワークライフバランスのとり方ができること。子育て中だけどワークに重点を置きたいという人もいるでしょうし、今はワークよりも勉強や趣味に力を入れたいという人もいるでしょう。

今は社内風土として何となく許されている部分を、もっと明文化したり、制度化したりして、いろいろな選択ができるようにしていきたいです。

3社目で理想のワークライフバランスを実現

ー入社のきっかけを教えてください。

フラッグが3社目になります。
子どもがいる状態で新卒入社しました。新卒入社先で最初に配属されたところは勤務時間などを配慮していただけたのですが、第2子を出産後に多忙な部署に異動することに。ワークライフバランスを崩して退職しました。
そこで2社目は勤務時間を最優先して選びましたが、やっぱり仕事する上でやりがいも欲しいと思い、転職を決意しました。
フラッグで募集していた人事総務職は未経験ではあったものの、業務の幅広さとオフィスが自宅から近かったことで、ワークライフバランスを確保できそうだと考え入社しました

ー担当されている業務内容を教えてください。

人事総務のマネージャーをしています。人事制度の導入、システム導入、個人情報保護責任者、新卒採用、労務まわりの確認、メンバーのマネジメント、ハラスメント相談窓口、産休育休面談、よろず相談など、いわゆる人事総務領域に関してはなんでも関わっています。

ーよろず相談も!本当に幅広い業務を担当されているんですね。

そうですね。「こういう働き方をしたいけれど、どうしたらいいかな?」といった働き方に関することから、「5階だけトイレのハンドドライヤーの風が弱いんだけど」と日常の小さなことまで相談されます(笑)。誰に相談したらよいかわからなかったり、ちょっとした時に頼れるような会社の保健室のような存在も目指しています。

ー現在の働き方について教えてください。

管理監督者のため、定時のない働き方になりますが、メンバーに合わせて、9時30分~18時30分を基本として、ハイブリッドワーク(週3日程度リモートワーク)を行っています。

ー現在の働き方のメリットと課題について教えてください。

リモートワークのおかげで、休憩を長くとって子どもの保護者会に参加できるようになったり、子どもが帰ってきたときに「おかえり」と言ってあげられるようになったり、いろんなメリットがあります。

ありがたいことに、下の子は小6になるのですが、まだ私を慕ってくれていて、出社が続くと嫌がったり、どうにかして在宅にしてほしいと言ってくれたりします。仕事中だから特に何かをしてあげるわけではないのですが、家にいるだけで嬉しいようです。

一方で課題といえば、出社の時に出社業務を片付ける必要があり、出社時の残業が多くなってしまうことですね。

ー子育てをする上で、良かったと思った制度は何でしょうか?

上で挙げた子ども子育て休暇やリモートワークに加えて、裁量労働制や時差出勤です。裁量労働制は、主にクリエイター職が取り入れています。時差出勤については、例えば、子どもの長期休暇中の学童が始まる時間に合わせて、出勤時間を調整するといったかたちで活用されています。

ー今後のご自身のキャリアをどのように考えていらっしゃいますか。

私は、子どもが大きくなってきて、物理的に手がかからなくなってきました。子育てとキャリアの両立ができず退職した経緯もあるので、フラッグではそういう社員が出ないような会社にしていくこと、働きやすさとキャリアが両立できる会社にすることが責務だと考えています。

編集後記

ライター・Y田

自身が子育てと仕事の両立で悩んだ経験をもとに、誰もが働きやすい環境づくりをサポートされている田上さん。これから同社で子育てしながら自分らしくキャリアを積んでいきたいと考えるママパパにとって強い味方ですね。