「女性の働き方を変え、組織にとらわれない新たな選択肢をつくる」――株式会社アルマ取締役・末吉令美奈さんインタビュー

子育て世代のフリーランス価値向上に挑む!株式会社アルマ 取締役 末吉令美奈

丸紅という一流総合商社で海外駐在まで経験し、誰もが羨むようなキャリアを歩んできた末吉令美奈さん。彼女が一昨年末、17年間勤めた丸紅を退職し、新たに選んだ道は「組織にとらわれない働き方を推進するプラットフォームづくり」でした。なぜ、大企業を飛び出してまでその道を選んだのか。そして、彼女が立ち上げたサービスとは。インタビューを通じて、その想いや今後の展望を伺いました。

丸紅退職、そして「枠を超えた」新たな道へ

まずは、末吉さんのこれまでの経歴を簡単に教えてください。

新卒で総合商社の丸紅に入社し、17年間勤めました。若手のうちから海外駐在など貴重な経験をさせてもらい、プロジェクトも多く任せていただける環境で、仕事が楽しくて没頭していました。

商社勤務といえば、まさに“エリート街道”ですよね。そのキャリアから退職され、新たな道へ進まれたきっかけは何だったのでしょうか。

一番のきっかけは、シンガポール赴任中に妊娠をしたことです。帰国してすぐに出産し、その後、すぐに職場復帰を考えていたのですが、子どもに呼吸器系の疾患が見つかり、NICUに入院しました。幼いわが子を見ているうちに「もっと子どもと一緒にいる時間を取りたい」という想いが強くなり、キャリア優先だった価値観が大きく変わったんです。

その後、子どものケアを優先しようとするとどうしても仕事をセーブせざるを得ない場面があり、大手企業の制度は充実していても、自分自身が「どちらを優先するのか」という選択に常に悩みました。そんなとき、もともと父が経営コンサルなどを手掛ける会社をやっていたこともあり、いっそそちらへ移って「子育てしながらでも活躍できる働き方を広げる仕組みをつくりたい」と思ったのです。

「PRO WORKS」がめざす “組織にとらわれない働き方”

実際に、今どのような事業を手掛けているのですか?

私が取締役を務める株式会社アルマでは、昨年7月に「PRO WORKS(プロワークス)」というプラットフォームを立ち上げました。当初はフリーランス向けのサービスとしてスタートしたのですが、実は副業(パラレルワーク)の方にも活用していただきたいと考えています。
なぜなら、本業を持ちながらも「やりがいのある仕事がしたい」「新しいスキルを試したい」という方は増えてきていますし、企業側でも副業人材の力を求めるケースが増えているためです。

PRO WORKS https://start-proworks.com/

具体的には、どのような形で支援されるのですか?

PRO WORKSでは、登録していただいた方の希望する働き方や得意分野をヒアリングし、クライアント企業の案件とマッチングします。もともと弊社グループが経営コンサルや会計・税務のサービスを提供してきた実績がありますので、ただ人材を紹介するだけでなく、クライアント企業が抱える課題を根本から整理し、そこに必要なスキルを持つ人材をアサインできるという強みがあります。
これはフリーランスの方にも、副業(パラレルワーカー)の方にも同様にメリットがありますし、企業側としては「チーム」をまとめて提供してもらえる感覚で活用いただけるんです。

子育て世代にも優しい「チーム制」の可能性

末吉さん自身、子育てとの両立に苦労してこられたと伺いました。そういった点でのサポートも考えていらっしゃるのでしょうか。

今後は、子育て世代も含め、より多くの方が柔軟に働ける環境づくりをさらに進めていきたいです。たとえば、チーム制を重視することで「子どもが急に熱を出したとき」に他のメンバーがカバーできる状態にすれば、単独で案件を抱えていた場合のような負担を減らすことができます。
副業・パラレルワークでも同じで、本業と掛け持ちしている方がどうしても忙しい時期には、ほかのメンバーが代わりに稼働する。そうした仕組みは生産性の向上にもつながりますし、モチベーションを高め合えると感じています。

確かに、これからの時代に合った働き方ですね。

そう思います。結婚や出産を機にキャリアを諦めるのではなく、組織に属さなくても、自分のペースやライフステージに合わせて仕事に取り組む選択肢はもっと増やせるはず。PRO WORKSを通じて、フリーランスだけでなく副業の方々も含め、「組織の枠に捉われない働き方」を広めていきたいですね。

組織に縛られない“新しい働き方”の未来

最後に、今後の展望をお聞かせください。

これからは“フリーランス”という言葉に限らず、「副業(パラレルワーク)」や「業務委託」など、組織に縛られない働き方全般を支援していきたいと考えています。企業の側でも、副業OKを打ち出しているところが増えていますし、それぞれが自分らしく働ける可能性が広がっている過渡期だと思うんです。
私自身、丸紅での経験を通して大企業のメリットも知っていますが、一方で「もっと柔軟な選択肢があればいいのに」と感じる場面も多かった。PRO WORKSやグループのコンサルサービスを通じて、多様な方のスキルを結集し、新しいキャリアを切り拓けるような仕組みづくりにチャレンジしていきたいですね。

編集後記

はたママ編集部

社会の風潮や会社制度の変化に伴い、“フリーランス”や“副業”というキーワードが注目を集めています。一方で、実際にそれらの働き方を選択する際には、「安定」や「子育てとの両立」などで不安がつきまといがちです。
末吉さんは、自身の体験を踏まえつつ、フリーランスや副業といった多様な働き方を当たり前の選択肢とするべく行動しています。「組織の枠に捉われない働き方を推進したい」という言葉には、単に企業を辞める・辞めないという話にとどまらず、誰でも自由なキャリアを描ける社会にしたいという強い思いが感じられました。
今後、PRO WORKSがどのように発展し、“フリーランス×副業”や“チーム制”という働き方を形にしていくのか、大いに注目していきたいと思います。

関連リンク

PRO WORKS
https://start-proworks.com/

株式会社アルマ
https://www.arma-as.co.jp/

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