1974年の設立以来、サッシをはじめとする住宅設備機器の販売において、リーディングカンパニーの座を築いている八尾トーヨー住器株式会社。
前回に引き続き、こちらの代表取締役である金子真也さんと広報PRの奥野絵里奈さんに、社内でSDGsに取り組んだ背景を伺っています。
SDGsの取り組み〜こころプロジェクト〜
➖建築業界では珍しく、SDGsに取り組まれていますよね。御社で発足されたSDGsの取り組みである「こころプロジェクト」の背景を伺いたいと思います。
こころプロジェクトは在庫セールからスタートしました。
私ども建築資材を販売している会社なので、どうしても商品間違いやキャンセルが発生してしまうことがあります。一定数の在庫商品は処分していましたが、それはもったいないということで、ガレージセールのようにしてお客様に来ていただいて販売するようになりました。その後、お客様に来ていただくために、その場での対応やおもてなしもしっかりすることに努めました。同時にメンバーたちも、お客様にしっかり支えられていることを認識する機会だと思います。
最初は私が中心でしたが、2年目以降は他のメンバーにまかせました。みんながいろいろな意見を提案するようになりましたし、近年になってSDGsをテーマにしたイベントをやろうという意見が出たことが今の活動に繋がっています。
弊社には、創業時から、経営目標・社業の意義・基本精神が書かれた「創業のこころ」がありました。
経営目標には「全ての人が誇りを持って生涯安心して働ける立派な会社を作り、広く社会に寄与する事」
と書かれています。
ただ、弊社は2010年頃までは長時間勤務が普通であったり、子育て中の女性は急な用事で抜けたり休むことが避けられないという点で子育て層の採用が積極的ではない状態。決して生涯安心して働ける会社ではありませんでした。
今の時代に合わせるべく、創業のこころをベースに「一人ひとりが仕事をする上で大事なこと」をまとめたのが「こころ」というクレド(行動指針、信条)です。
こころプロジェクトは、このクレドを実践し、お客様にいろんな価値を提供していこうという考えが背景にあります。
お客様や会社のメンバー、近隣や地域のみなさん、家族というステークホルダー✳︎とちゃんと向き合い繋がることで人として成長できるのではないでしょうか。
価値を提供できるのは「人」ではないでしょうか。
どれだけデジタルが発達しても、最終的にお客様に感動を届けることができるのは、人の心だと私は思います。
✳︎ステークホルダーとは 企業活動をする上で関わる全ての人
八尾トーヨー住器株式会社では、地域の方々への貢献や海外の支援まで、様々な活動を展開しています。
こころプロジェクトの活動を一部をご紹介します↓
こころプロジェクト チャリティーフェス」の中で、カンボジアの貧困地域に暮らす女性が作っ たハンドメイド商品を販売
また、同時に設置される「備蓄ボックス」には、非常食(パンの缶詰とボトル水 約100セット)が保管され、 国内で大規模な災害が発生した場合の緊急食料として無償提供されます。
社内でのSDGsの取り組み
➖地域への貢献から海外への支援にまで活動は広がりました。その中で、社員の方達が「自分たちができるSDGs」を動画で発信されていて、とても素敵だと思いました。
社内の人間から発信が大切だという声が社内から上がりました。
これは、私ではなくこのプロジェクトに携わったメンバーがそれぞれ考えてくれたものです。ここ最近、それぞれのメンバーがいろんなこと考えてくれるようになりました。
➖創業50年近くでありながら、時代に合わせてSDGsに取り組まれていましたよね。業界としても珍しいことではないでしょうか?
金子社長:語り出すと、だいぶ時間が必要かもしれない(笑)。
デジタル機器を取り入れ、会社としての理念を大切にする、ということを2014年からスタートさせたのがきっかけですね。
合わないからと去るメンバーも、少なからずいましたが、全部想定内ではありました。
やっぱりみんなが気持ちよくできるような仕事や会社にするなら、従来の仕事のやり方を変えていかないとダメだと思いましたから。
デジタルへの移行はトップダウンと言うか、勝手に進めたと言いますか…。
今もその転換の最中ではありますし、「良い会社になったね」って喜んでくれるメンバーも増えてはいますが、以前のメンバーからすると、「急になんか変なこと言い出した」と捉えていたと思います。
今残ってくれているメンバーや、またこれから八尾トーヨー住器に入ってくれるメンバーのことを考えると思い切って行動してよかったなと思っています。
奥野さん:今の八尾トーヨーからは想像ができないです!
金子社長:奥野が今の状態を見て「想像できない」って言ってくれるのは、本当にありがたいですね。彼女たちのようなメンバーたちが長く仕事ができるような環境を、これからもしっかり整えていきたいです。
➖同業の方にはどのような評価を得ていますか?
金子社長:今の段階では、かなり変わりものだと見られてます(笑)。
同業者や私どもが仕入れさせて頂いているメーカーさんを含めて、現場で仕事をするのが最優先であるはずなのに、どうして関係のないアクションを起こしているのだろうとネガティブに見られることが多いですね。
奥野さん:いや変人ぐらいのレベルだと思いますね、業界の中では(笑)。
実際、現場での仕事がないと成り立たない業界ではあるので。その兼ね合いがとても難しいですが、このSDGsの取り組みの大切さは後から身に染みてわかるだろうと思っています。
この業界に関して言うと、上のいうことは絶対といった絶対的な権力や圧力があるような業界ですが、弊社はとてもフラットです。
金子社長:うちはめっちゃフランクやけどな(笑)。
奥野さん:ほかの組織やメンバーに通して言えることですけど。勤続20年、30年の大ベテランの方が、もう私や社長に対しても、同じぐらいこうフランクに話してくれる。こういう雰囲気は、業界としてなかなかないですよ(笑)。
金子社長:SDGsの取り組みはこれから絶対大事になってくると思います。同様に、女性が活躍できるような職場である必要があると思っています。
以前は、お父さんの言うことが全てという時代でした。
しかし、今では新築やリフォームされる時は奥様の意見が尊重されますよね。
例えば、普段一切台所に立たない男性がキッチンの説明をしても何の説得力も無いわけですよね。主婦であり、子育てをして共働きという立場の女性社員だからこそ、「こうすればもっと便利になりますよ」といった提案をできる業界だと私は思っています。
だからこそ女性が活躍できる、若い人たちが活躍できるような会社でないと、良いサービスが提供できないと思っています…が、現在のこの業界は、まだまだですね。それもあって、大分おかしな奴だと思われています(笑)。
絶対的な権力や圧力があるような業界ですが、弊社はとてもフラットです。
はたママ読者へのメッセージ
➖最後に、はたママ読者へメッセージをお願いします。
みなさんきっと輝ける場所があると思っています。
育児や介護といった理由で、第一線を退いてしまう方も少なくないですよね。働きたいと願っても、時間が取れないことによって活躍する場をなかなか得られないのではないでしょうか?
稼働時間もフルじゃなくてもいいと思っています。時間が取れるようになったら、またフルタイムで働いてもらえばいいですから。時間が限定されているなら、その時間で仕事してもらえるように、弊社でも働く時間がフレキシブルな体制を作っていきたいと思っていますし。
ぜひ、弊社を「就職したい」と思う1社にしてもらえたらなんて思っています(笑)。
創業が1974年という八尾トーヨー住器株式会社。歴史ある企業なので、大丈夫だろうか? とガチガチに緊張していましたが、広報の奥野さんがおっしゃっていた通り、金子社長は私ともフランクにお話ししてくださいました。会社の歴史や取り組み、その歩みに寄り添う社員の方達との信頼関係も伝わるインタビューでした。会社が相思相愛なのって、本当に素晴らしい。
「変わるのがこわい・嫌」というのは、きっと誰でも経験があること。その理由を重ねて諦めるのではなく、思い切って飛び込む勇気を金子社長からいただきました!