ポジティブに送り出してくれる文化が最大の福利厚生


仕事を発注したいクライアントと仕事をして収入を得たい人をマッチングするプラットフォームを運営する「ランサーズ株式会社」。新たな働き方を創出している同社自身の働きやすい環境への取り組みについてインタビュー。人事部の岩波さんと男性育休を取得したエンジニアリングマネージャーの長島さんに話をお聞きしました。育休取得によって、仕事面でも発見があったそうですよ。

新たな働き方を創出するランサーズの取り組みは?

―御社の事業内容を教えてください。

「個のエンパワーメント」をミッションに掲げ、個人と企業をオンラインでマッチングする受発注プラットフォームを運営しております。テクノロジーを活用した新しい働き方を提供することで、個人の生活・働き方、あり方を変革し、一人でも多くの個人が働き甲斐を感じられる、よりよい豊かな社会づくりに貢献します。また、150万人を超えるフリーランスとの適切なマッチングにより企業の人材不足、生産性向上、DX化促進への課題にも寄与し、外部人材活用によるイノベーション、技術革新を推進しております。

■プロに直接頼めるマーケット「Lancers」https://www.lancers.jp/
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―働きやすい環境への取り組みと、それに対する社内での反応や課題がありましたら教えてください。

働きやすい環境への取り組み

・フレックスタイム制(コアタイム10:00~14:00)と裁量労働制
裁量労働制は一定のグレード以上のエンジニア・デザイナー等が対象です。

・副業OK
自分のスキルを磨き外部の知見を積極的に生かすことを推奨しています

・リモートワークOK
基本的にはリモート勤務可能で、詳細は各部のルールに任せています。地方などに在住しているフルリモート勤務の社員は約8%、オフィス全体の出社率は平均して約20%です。会社のイベントなどでオフライン推奨の場合は、出社します。また日頃のミーティングも、ディスカッションやインタラクティブな話し合いは、あえて出社にするなど必要に応じてオンライン/オフラインを切り替えています。

・産休育休制度
男性女性問わず、産休育休を取得しており、配偶者の出産にともなう休暇制度もあります。対象となる男性社員のうち、多くのメンバーが取得しており、年々取得率が増加しています。期間も、業務内容に応じて所属部署と話し合いながら柔軟に決めています。
お子さんがいるメンバーも多く、育児から復帰しても働きやすい環境があります!

社内での反応

・お子さんの送り迎えで中抜けがある社員などは、リモートワークやフレックスタイム制度を上手く活用しており、ポジティブな声をもらっています。
・お子さんがいるメンバー同士での悩みや情報交換も良く行われています。

現在感じている課題

・チームやプロジェクト外のメンバー同士の連携
SlackやGatherなど、オンラインのコミュニケーションは充実させていますが、雑談や事業部外のメンバーとの関わりがつくりづらくなっていると感じています。施策として、社内で1on1だけでなく、1on1をした相手に、次に話して欲しい人を紹介していく「テレフォンショッキング」という取り組みを始めています。また、「シャッフルランチ制度」など、会社全体でメンバーシャッフルしたランチ会なども実施し、チームを越えたメンバー間コミュニケーションの機会を創出しています。

育休を取得して、チームマネジメントに対する考えに変化が

長島和馬さんのプロフィール

職業:Webエンジニア、エンジニアリングマネージャー
入社年:2019年
お子さんの年齢:1歳
居住地:東京都

―入社のきっかけと、現在担当されている業務内容を教えてください。

長島さん:友人がランサーズで働いていて、一緒にやろうよと誘ってもらったのがきっかけです。前の会社は6年くらい勤めていて、ちょうど新たな自分のキャリアや可能性を探っていた時期で、自分自身の働き方についても課題を感じていました。ランサーズは新しい働き方をリードしていく会社というのは知っていて、ここならいろんなチャレンジができると思いました。

現在はエンジニアリングマネージャーとして5チームを横断でサポートしつつ、全体のモチベーションをつくり生産性、品質、成長、成果を最大化するポジションを担っています。
育休前は3名程のチームのプロジェクトマネージャーとして進行の責任を負っていました。

―育児休暇を1カ月間取得されたそうですね。どう感じられましたか?

長島さん:積極的に使うべき制度だと思いました。会社は取得を推奨していて、メンバーも「頑張ってね」と快く送り出してくれました。いい会社とメンバーに恵まれたと思いました。一方で始まってみたらとにかく大変で、そもそも「育児休暇」という言葉に違和感を感じました。産後の体は交通事故にあったレベルというのが比喩表現じゃなく、全部自分がやる!という気持ちで家事に育児に奔走していました。

―1カ月という期間はいかがでしたか?

長島さん:もっとほしいと思いました!チームリーダーというポジション上、現場に迷惑をかけられないという思いで、自分で1カ月と決めたのですが、実際に育児が始まると本当に大変でした。常に寝不足であまり当時の記憶がないくらいです。

お子さんと一緒の長島さん

―何が一番大変でしたか?

長島さん:やっぱり夜泣きですね。2~3時間おきに起きて、そのたびにミルクをあげていたので、常に哺乳瓶の洗浄や消毒に追われていました。ちょっと普段と違う様子を見せた時に、これ大丈夫?と心配になることも…。第一子なので何が正解かわからなかったことも大変でしたね。

―復帰後に苦労したことを教えてください。

長島さん:1ヶ月間なので、さほど情報のロスはないと舐めていましたが、全体を把握するポジションなのでキャッチアップに1週間はかかりました。

ただ、それ以外は、特に苦労したことはありません。信頼できるメンバーがいつも以上に頑張ってくれていたというのが大きいですね。自分がいなくなってもチームが回るくらいにしておくのが大事だと思いました。

―育休取得前と後で、マネジメントについての考え方に変化はありましたか?

長島さん:ありました。チームのメンバーは、普段は「俺に任せろ」みたいな感じでは全然ないのに、僕が育休を取得する時は、「任せてください」という言葉をもらいました。
実際、育休が明けると、メンバーが頼もしくなっていましたね。僕がいなくなったことによって、メンバーそれぞれがリード力をもって自走していけるようになっていて、仕事を任せて申し訳ないという気持ちの反面、もっと最初から色々任せておけばよかったという反省もありました。

働き方にこだわる理由は、父との関係

―良いと感じている会社の制度等はありますか?

長島さん:制度ではありませんが、育児休暇や出生後の流れの説明やスムーズな手続き、周りがポジティブに送り出してくれた文化が最大の福利厚生だったなと思います。
社内のグループチャットでパパママチャンネルというものがあり、困ったら先輩パパママに聞けたり、自分だけではキャッチアップできない情報を得られたり、とても助かっています。

―現在の働き方のメリットと課題について教えてください。

長島さんコロナを機に、ほぼフルリモートで働いています。フレックスタイム制とリモートワークにより、朝型に変えて早くあがるような業務スタイルができたり、有休や子どもの送り迎えなど一時離席をコントロールできたり、家族と多くの時間を共有できるのが最大のメリットだと思います。

また、会社が副業を推奨していて、外部からも様々な知見や経験値が得られるのは魅力ですね。自分は動画編集の副業をやっていました。本業の延長でも関係ないことでも、興味を持ったことは気軽に始められる環境です。

一方で、リモートというか、コロナ禍になってから全体的に雑談が減り、コミュニケーションの課題が顕在化しました。現在はバーチャルオフィスツールを導入し、「成果出す前提で周りと関係性を築くために、むしろ積極的に雑談していけ!」という方針でやっています。

弊社は新しい働き方を体現、リードするべき立場だと思っているので、広義でいうと課題はいっぱいあると考えていますが、個人レベルの話でいうと子育てしながら自己学習する時間がうまくとれず、時間の使い方を再構築する必要が出てきています。

―今は、プライベートでは子ども優先の生活スタイルなのですね?

長島さん:そうですね。もともと朝が弱かったのですが、今は子ども中心の朝型スタイルに変わりました。ご飯を食べさせたり、お風呂に入れたりしています。休憩時間中も、食事をぱっと済ませて、あとは子どもと遊んだり、おむつ交換をしたりして、子どもと関わっています。

妻の実家に、妻と子どもで一週間里帰りしたことがありました。その一週間の間に、立って歩き出し、別人のように成長していてびっくりしました。いつの間にかハイハイをしなくなっていて少し寂しい気持ちでしたが、子どもの成長をつぶさに見られる点でも、リモートワークはいいなと感じています。

―今後のご自身のキャリアをどのようにしたいと考えていらっしゃいますか。

長島さん今後もフルリモートで働き続けると思います。家族との時間を確保しながら、エンジニアとしての第一線のスキルを伸ばしつつ、マネジメント軸では一緒に働くメンバーを幸せにする力を身につけて、モチベーション高い組織でユーザーにとって最高のプロダクトをつくりたいです。

最後に、どうして僕が働き方にこだわっているかについて話したいと思います。
僕自身は、主に母が子育て、父親が仕事というステレオタイプの家庭で育ち、学校行事に父はあまり来てくれませんでした。今でこそ父とは仲がいいけれど、昔は少し怖いイメージがありました。

大人になってから聞いた話では、父自身は家族に歩み寄ろうと努力はしていて、会社に「息子の入学式だから有休をとらせてほしい」と申し出たこともあったそうです。当時の上司からは「お前みたいなやつは初めてだ」と言われたくらい、当時の会社組織は融通が利かなくて、そこに仕事をしながら子育てすることの難しさがあったのだと思います。

父のことを怖いと思っていたのも、きっと親子間の対話や時間の共有が足りなかったから。ですから、僕は子どもとの時間を大切にしたいと思っています。

編集後記

「育休取得をポジティブに送り出してくれる文化が最大の福利厚生」という言葉に、ランサーズ株式会社の働きやすい環境が凝縮されているなと感じました。そして、長島さんが自身の働き方にこだわり、社会全体の働き方を変えたいと感じている理由は、家族ともっと過ごしたかったのにそれができなかったお父様への思い。心を動かされるインタビューでした。

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