大手の企業の大規模プロジェクトで研鑽を積んだメンバーを中心としたプロフェッショナルファーム、オーシャン・アンド・パートナーズ株式会社。
今回は、同社でフルリモートというスタイルでシステムエンジニアをされている平山 和昭さんに仕事と育児についての考えを伺いました。元々都内で出社のスタイルで働いていた平山さん。しかし、ご家族の負担やその時の働き方に不安を感じ、転職を決意されたと言います。
オーシャン・アンド・パートナーズ株式会社について
➖御社の事業内容を教えてください。
デジタル変革支援サービスを展開しています。
多くのコンサルティング会社が提言だけで終わるのに対し、当社は実装形式やプログラミングまでを念頭に入れた実践的なコンサルティングを行い、さらに完成まで手掛けています。
➖働きやすい環境への取り組み、それに対する社内での反応、また、現在感じている課題がありましたら教えてください。
オーシャン・アンド・パートナーズ株式会社の価値観
価値観1)コロナ以前から完全フルリモート
勤怠管理も一切なく、成果を出せば週何日何時間の勤務でも問題ありません。ご自身の状況に合わせて多様な働き方を叶えることができます。
価値観2)個人が主役
メンバーが楽しいと思える仕事、成長を実感できる仕事を重視し、それができるビジネスモデルも創ってきました。仕事はあくまで自発的意思であり、指示や命令することはありません。手を挙げた人たちでチームを作り、それぞれのメンバーが個性を発揮し、クリエイティブに仕事を行っているのです。
互いに個人の特性や得意領域を理解し合いながら、それぞれの良さを出し切ってもらいたいと考えています。
価値観3)最初から最後まで責任を持つ
私たちの仕事はシステムを動かしてナンボです。机上の空論に意味はありません。箱根駅伝のように最終走者がゴールまで走りぬくことが大事です。最期まで見届けるからこそ経験がストックされます。
またクライアントから直接「ありがとう」の言葉を聞けるのも私たちの仕事の醍醐味です。
価値観4)最新技術を使いこなす
他のコンサルティング会社はオンプレミスのシステムやERPを含めて幅広くサポートしますがが、私たちはモダンテクノロジーにこだわります。
価値観5)無駄なミーティングはしない
もちろん出社日も無ければ、定期ミーティングもありません。
クライアントとの打ち合わせはありますが、その他の打ち合わせは必要最低限に留めています。
本当に成果だけ出せばOKなカルチャーですので、進捗会議すらおこないません。
オーシャン・アンド・パートナーズ株式会社 https://www.ocean-ap.co.jp/
平山さんの働くスタイルについて
職業 システムエンジニア
お子さんの年齢 6歳(小学1年生)
居住地 千葉県
➖平山さんの担当されている業務内容を教えてください。
小規模案件を中心にお客様のご相談内容から新システムのご提案やシステム開発作業を行なっています。
➖転職されてオーシャン・アンド・パートナーズに入社されたのですよね。勤怠など何から何まで自由というのはいかがでしょうか?
子どもが2歳くらいまでは都内で勤務していました。保育園に入園して妻が働き出すようになりました。ただ、妻は車を運転することができないのです。そこで雨だろうが風が強かろうが、自転車で子どもを登園してもらざるを得なくて…。私が送迎を対応することができますが、都内に出社していると対応することに限界がありました。朝、子どもが体調不良になっても自転車で行ってもらうしかなかったのです。そういう生活を続けていて、約1年経った時、子どもに発達障害の診断が出ました。
「これは、都内で働いている場合じゃないな。」
そんな考えに至った時に、元々前の仕事で知り合いだった代表と 飲む機会がありまして。相談をしたところ、自分の会社はどうかと オファーをいただきました。
とてもありがたい提案でしたので、「ぜひお願いします!」と入社いたしました。
その時、仕事のスタイルについても聞いたので、それなら家のフォローをしながら働くことができる! と希望が持てましたし、願ったり叶ったりの環境だなと感じましたね。
私自身は、社員として会社に所属していますが、個人事業主で副業として弊社の案件に携わる人がほとんどですね。
➖今までと仕事のスタイルは大きく変わりましたか?
一つの案件をまかされ、自分1人で最後までやるというスタイルですね。今まではチームの中にリーダーがいて、作業を振られるというスタイルでしたから。
その分責任も大きいですが、結果を出せば問題はないですし、何より自分の実力がグッと上がります。とてもやりがいがありますね!
➖そのような働くスタイルだとコミュニケーションは充分取れるのでしょうか?
完璧に自分1人でできるわけではないので(笑)、わからないことがあれば熟練のエンジニアの先輩に相談します。
➖現在の働き方のメリットと課題について教えてください。
時間の調整がしやすいのが一番のメリットかと思います。
課題は…強いて言えば若手や未経験者の育成には向いていないかもしれませんね。自宅で勤務という環境ですので、隣についてすぐに指導というわけにはいきません。ある程度自己解決能力が必要になりますね。
➖通勤していた時と、現在はどちらの働き方が良いと思いますか?
ちょっと難しいですね…。どちらも一長一短だと感じています。今の環境は、自分で管理さえできれば成長できます。以前のような出勤して仲間が周りにいる働き方は、労働に強制的な力が発生しますよね。その点、否が応でも経験が積まれていきます。この辺に関して、以前※弊社でコラムを書いたことがあるので良かったら読んでみてください(笑)。
※働き方についてのコラム…『【働き方改革】リモートワークを成功させる3つのポイント』というタイトルで、平山さんが書かれた記事。奥様とどうやって家事・育児を分担しているのか細かく表になっていて、とても参考になります!
仕事と子育てについて
➖仕事と育児はどんなふうにバランスをとっていらっしゃいますか。
バランスを取るというよりかはプライベート優先にさせていただいているので、どうしても調整できない場合以外は家族との時間を減らすことはありません。
例えば日中帯に、子どもや妻の送迎などで席を外す場合は家族が寝た後に残りの作業を行うといったやり方になります。
家庭内での妻の定時を18時としています。ご飯が終わったら、全て終了。そこから私にバトンタッチになります。
食事の後の片付けやお風呂、歯磨きや寝かしつけは私が担当しています。
妻は外で働いていますし、私が子どもの面倒をだいぶ見られるようになったことでバランスが取れている気がしますね。
➖仕事が終わらない場合はどうやって時間を調整していますか?
片付けや子どもに関することが全て終わってから、仕事に戻ります。保育園の頃はそのやり方でうまく回っていましたが、小学校に入学してから登校時間が早くなったので…、調整は難しくなりました。
➖そのような働き方ですと、お子さんが平山さんの働いている姿を見ることは少ないのでしょうか?
そうですね。子どもがいるときは仕事をやめてしまうことが多いです。
夏休みなどは、預け先に小学校と同じ時間は預けられません。子どもが寝た後、集中して作業をするといった工夫をしていました。
➖今後のご自身のキャリアをどのようにしたいと考えていらっしゃいますか。
弊社はコンサルティング〜システム開発まで一貫した支援を提供できるところが強みです。そして、この環境になってから今まで経験をしたことがない仕事も携わってきました。
私の多くの経験、実績はシステムエンジニアがメインで、まだコンサルティングの領域までスキルも経験も届いていないと認識しています。経験値の引き出しを作る難しさ=成長というのを強く感じますね。失敗をしても、必ず次は同じような失敗をしないように、前もって勉強しようという意識や責任感を強く持っています。今の仕事環境は賞賛とクレームが直に私に来る状態なので!
今後はコンサルティングまで踏み込めるようヒアリング〜提案・開発まで管理・完結できる「コンサルティングエンジニア」を目指したいと考えています。
編集後記
家族で働き方について考えて、在宅勤務にされたのかと思っていましたが、平山さんが決断されたという事実にびっくりしました。お子さんが起きている間は仕事をせず、お子さんと家族と過ごす時間を何より大切にしている平山さん。そして奥様について、「何が起きても動じず、慌てず、かっこいい人だ」とおっしゃっていたのが、とても印象的でした。奥様の自宅での定時が18時とされていること。とても素敵な家族関係ですよね。
【働きやすい環境への取り組み】
・当社は私が入社する前からフルリモートを採用していました。
そのため、元々作業場所や時間の定義はなく、「いつでも」「どこでも」が実現されていました。
もちろんそのためには全て自己管理する必要がありますが、成果を出すことを前提としていますので、モチベーションや責任感は維持できるようになっています。
また、この体制が可能になっていることで副次的にコロナになっても業務には全く影響がありませんでした。むしろオンラインミーティングが主流になったことで、さらに良くなったと言っても良いと思います。
【社内での反応】
・当社は基本的に個人事業主の方と連携して案件毎にチームを作成しているので、社員は私しかおりません。
また、フルリモートのため基本的にはメール等の文章でのコミュニケーションが主流です。
なので、フルリモートの作業環境についてお聞きすることはあまりないのですが、私の印象としては、フルリモート前提で作業されている方々なので、私よりも文章でのコミュニケーションは慣れていて、対面で話さないことについて不自由を感じている方はいないように思います。
実際に私もお仕事はしたことあるけど、お会いしたことがない、という方はいらっしゃいます。
【現在の課題点】
・若手育成には工夫が必要かなと思います。
前述しましたように、成果を出すことを前提にしていますので、まだ一人で作業することが難しい若手の方と作業する場合はサポート体制をどうするか工夫が必要です。
特に自己解決する意識や能力がまだ育っていない状態だとなかなか難しいというのが実情だと思います。それでも基本的にはオンラインミーティングなどで確認しながら作業することで現状は対応できています。