誰もが働きやすい職場(コミュニティ)へ

1982年に国内初の本格的なコールセンターアウトソーシングサービスを開始し、2022年9月で創業40周年を迎えた「株式会社ベルシステム24」。
約3万人の従業員一人ひとりが働きやすい環境を整えるために、同社が取り組んでいるのが、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)プロジェクトです。今回は、同プロジェクト内の「子育て&キャリア両立支援チーム」で活動する3名に話をお聞きしました。

藤井 友香理さん
業務内容:人事部門
お子さんの年齢:小5、小1

菅 晶子さん
業務内容:システム部門
お子さんの年齢:小6、小3

皆川 大輔さん
業務内容:人事部門
お子さんの年齢:3歳

D&Iプロジェクトのはじまりは?

―プロジェクトはどのようにして始まったのでしょうか。

藤井さん:2011年にJ-Win(ダイバーシティ・マネジメントを支援するNPO法人)への加入をきっかけに、社内のプロジェクトがスタートしました。当初は、女性社員の育児と仕事の両立支援が中心でしたが、女性のキャリア支援へ活動の幅を広げていきました。2016年に、人事部門へダイバーシティ推進グループを設置し、女性活躍推進だけでなく、その他のダイバーシティ推進活動や働き方改革などに関する活動も開始しました。

2017年からは、ボトムアップでのダイバーシティ推進企業風土形成を加速するため、組織横断型の『D&Iプロジェクト』が発足しました。

2018年からは、男性育休の推進や、LGBTQ&ALLY(ALLY:LGBTQを理解しサポートする人)支援活動の開始など、取り組みの幅を拡大しています。

当社は、「多様な人材が、楽しく、安心して働ける、人に優しい職場(コミュニティ)の創出」を企業理念の一つとして掲げています。女性活躍を含む「人と働き方の多様性」を経営上の最重要課題とし、多様な背景を持つ従業員が最大限に強みを発揮できる制度や組織風土づくりを進めています。

藤井さん

―具体的に、どのような活動をされているのでしょうか?

藤井さん:D&Iプロジェクトは、社員参画型の全社横断プロジェクトとなり、変革のコア人材となる社員が自組織でもD&I推進を伝播することにより、風土醸成を図っています。これにより、人事部門だけでD&I推進に取り組むのではなく、全社横断プロジェクトでも経営層に定期的なレビューや報告を行い、ボトムアップでも変革が進む組織体制になっています。
プロジェクトメンバーは自らの立候補や上司の推薦、またはプロジェクトからの指名など様々な形で参画します。

また、D&Iプロジェクトの一環として、ネットワーキング活動と企業風土の醸成を目的とした社内コミュニティ活動である『MMMC(スリーエムシー)』を実施しております。有志でメンバーを募集し、2022年度は120名の社員が参加しています。
活動テーマは、「仕事と育児の両立」や、「LGBTQ&ALLY」、「メンタルヘルス」など毎年5~8テーマ用意し、過去から継続しているテーマのほかに、社員が興味を惹かれそうなテーマを新規設定するなど、一定数の参加者が集まるよう工夫しています。

D&Iプロジェクト

女性も男性も子育てとキャリアを両立するために

D&Iプロジェクト 子育て&キャリア両立支援チームについて

男性育休の推進をメインとして2018年に活動をスタート。現在は、「ジェンダーに関係なく、子育てとキャリアを両立できる会社にする」を目標に活動。現在のメンバーは女性5名、男性3名で活動しています。

―皆さんがプロジェクトに参加した理由を教えてください。

菅さん:子育てをしながらでも働きやすく、かつキャリアアップも望める職場を求めて、当社に転職しました。
入社後まずJ-Winへの参加を紹介され、活動した結果、「D&Iを私のキャリアのもう一本の軸としたい」と考えるようになりました。
私自身、共働きで2人の子供を育てながら、入社後管理職へのキャリアアップをかなえた経緯もあり、男女関係なく、子育てとキャリアを両立できる会社にしたいと、参加しました。

菅さん

皆川さん:2019年に子どもが生まれ、3週間育休を取得しました。3週間ではありますが、妻と同じ目線で育児に携われた経験は、夫婦ともに子育てとキャリアを両立していく土台作りに繋がったと感じています。その経験を踏まえて「育休取得しやすい風土作り」を促進していきたいと思い、参加しました。

皆川さん

―どのような活動をされているのでしょうか。

【活動内容】

子育て中の社員に対する支援活動と、その上司や同僚に対し両立への理解を促進。

①子育て当事者に対する支援活動
・男性育休取得の促進:男性育休ガイドブック、FAQ作成、相談窓口設置、育休の取得事例共有、厚労省「イクメン企業宣言」に参加。
・子育て当事者のエンゲージメント向上:テーマ別座談会の開催、子ども同伴イベント(Bell Kids Camp)開催
②当事者の上長や同僚に対し両立への理解を促進する活動
・「イクボス(子育てとキャリアの両立を支援する管理職)」 を増やすため:イクボスインタビュー記事共有、社内イクボスアワード開催、厚労省「イクボス宣言」に参加
・両立理解を促進するため:好事例共有、こども研修(妊娠・育児期の女性に対しどのような配慮を行うべきで、どのような配慮を行うべきでないか、現場管理者向けにまとめた研修)の実施


菅さん:課題点としては、当初「男性育休取得」にフォーカスして活動を行ってきたことで、取得率は大幅に上がったのですが、育休をとりさえすればよいというわけではありません。男女問わず、育休後のキャリア両立支援の充実が必要だと感じています。育休から復帰した社員同士の座談会を開催し、まずは悩みの共有・課題の抽出から進めている段階です。

また、イクボスについても管理職間でも意識に大きな差があり、そこをどうケアしていくかも課題です。「イクボス=子育てとキャリアの両立を支援する管理職」という定義や好事例について、これからも定期的に続けていきます。

会議をするD&Iプロジェクトメンバー

皆川さん:私が育休を取得した時は、同じ部署に育休を取得した男性社員がいたので、気軽に相談することができました。男性も育休を取得しやすい風土にはなってきていますが、部署単位で見た時には身近に取得経験者がいるとは限りません。ですから、男性育休ガイドブック、相談窓口、社内コミュニティなど、部署問わず相談できる場を提供し続けていることは、育休取得するかを検討している人にとって必要な取り組みだと考えています。

―活動を通して、どんな変化を感じましたか?

菅さん男性の育休取得が5~7割となり、平均取得日数も増えてきています(30~50日)。取得するのが当たり前という意識が根付いたことが一番良い変化だと感じています。
全国各地から「こんな素敵な両立事例があるから是非全社に共有して!」という引き合いが来るようになりました。

皆川さん:男性社員に子どもが生まれたら、『育休取得しましたか?』という話題が当たり前に出るようになりました。今後子育てとキャリアの両立に悩む時が来た場合にも、気軽に相談しやすい関係性を作ることに繋がると思います。

―今後の展望について教えてください。

菅さんメンバーになって3年目ですが、やっとスタートラインに立ったなという感じです。育休後のキャリア両立や、イクボスの浸透など、一朝一夕で解決できる課題ではないと認識しています。できるところから活動を続けていきたいと考えています。

皆川さん:子育てとキャリアのバランスは家族によって考え方が違ってもよいと思いますが、望まない形で夫婦どちらか一方に負担がよってしまうのは良くないと思っています。引き続き、活動を続ける中で性別問わず子育てとキャリアを両立しやすい会社にしていきたいと考えています。

藤井さん:当社では約3万人の従業員がおり、その背景は多様です。多様な従業員の声を反映しながら、これからも全社横断的に活動を続けていきたいと思います。

株式会社ベルシステム24はこんな会社!

【事業内容】

全国39拠点にて、通信、EC・通販、金融、自治体、医療業界など、1,000社以上の企業等の問い合わせ受付からインサイドセールス、バックオフィスなど多様な業務を行っています。

【働きやすい環境への取り組み・制度】

当社の最重要テーマは、「人と働き方の多様性」です。
社員の志向や事情は様々なので、個々に合った働き方ができるよう、働き方の選択肢を整備しています。

・コアタイムのないフルフレックス制度
・モバイルワーク制度
・仕事と育児・介護の両立支援制度(育児休業取得、時短勤務、看護休暇など)
・ワークシェア制度(子育てや介護などの理由により制約がある管理職の負担軽減を目的として副職を配置する制度)
・企業内保育園の設置 
・休憩時間の弾力的運用


例えば、昼に休みを取って、また時間をおいて、子どもの学校行事やお迎えなどで少し抜けるといったこともできるため、特に子育て世代に好評。

【社内での反応】

「インタビュー記事や、交流会などの取り組みを通して、自分も育休を取得してみようと思った」
「同じような悩みや葛藤を抱えている方がいることを知って励みになった」
「気軽に相談できる人がいなかったが意見交換できてよかった」
といった声が届いています。
身近に育休や子育て経験者がいない環境でも、全国各地にいる子育て社員どうしがつながり、経験を共有することで、前向きに一歩踏み出すきっかけになっています。

【課題】

・様々なクライアント企業様の業務に従事しており、担当する企業様によって求められるものや環境も異なるため、多様な働き方に関する制度自体はあるものの、活用が難しいケースがあります。コロナ禍以降、在宅ワークや、在宅コンタクトセンターの増強を進めており、その規模を拡大。育児や介護、地方への転居など、様々な事情と両立できる働き方を提供し、時間や場所の制約に影響を受けにくい、「働き方の多様性」の高い就業環境の実現にむけ、取り組みを進めています。

株式会社ベルシステム24 https://www.bell24.co.jp/ja/

編集後記

ライター・Y田

推薦による専門チームに加え、オープンに参加できるMMMCがあることで、「広く深く」D&Iが推進されているように感じました。MMMCとは、「みんなで未来をメイクするコミュニティ」の頭文字だそう。一度聞いたら忘れられない素敵なネーミングですね。

コンタクトセンターで勤務している方の中には、ミュージシャンや芸人など、夢を追いながら、あるいは本業を別に持ちながら、働いている方も多くいるそう。その多様性を生かしながら働いてもらうことを、同社の企業理念でも打ち出しています。

なぜなら、ベルシステム24の事業は「人が資産」だから。安心して長く働いてもらうことにフォーカスして、さまざまな仕組み作りを進めています。

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