クレジットカード決済におけるネットワーク接続・認証や、カード不正利用の検知システムを開発する株式会社インテリジェント ウェイブ(IWI)。同社では、女性活躍推進の活動として「Intelligent Women‘s Wave(インテリジェント ウィメンズ ウェイブ)」や、育児に関わる社員のコミュニティ活動を行っています。今回は、それらの活動の立ち上げや運営に携わっている、総務部 部長の丸山 陽子さんに活動内容や想いについて伺いました。
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インテリジェント ウェイブの女性活躍推進活動 「Intelligent Women’s Wave」
「Intelligent Women’s Wave」の活動内容について教えてください。
「Intelligent Women’s Wave」、私たちは頭文字を取って「IWW」と呼んでいますが、IWWは、当社が行う女性活躍推進の取り組みの中で、様々な活動を通して女性社員が相談したり情報を共有したりする場として位置付けています。希望する社員は誰でも参加が可能で、現在参加者は50名ほどになっています。毎月、何らかの活動を行っていますが、参加タイミングも自由です。
主な活動内容としては、キャリアや私生活、また女性特有の悩み(産後を含む身体の不調や、家庭生活など)についても相談できる面談を行っています。
また、会社全体の懇親を深める活動もIWWメンバーが一部担っており、「ママパパ社員」や「中途入社」、ときには「旅好き」といったテーマで部署を横断して開催するランチ会や、全社員向けに業務中のリラックス兼コミュニケーション活性化を目的にした「Fika」(スウェーデン語でのコーヒータイム)を開催しています。その他にも、IWWグループチャットでの情報交換(ITスキルやリーダーシップ等の研修や書籍についてなど)をしたり、社内報で活動についての発信を行なったりしています。
丸山さんが「Intelligent Women’s Wave」を立ち上げられた背景や経緯を教えてください。
「女性活躍推進法(2016年)」が施行された後、2019年に私が女性活躍推進担当になったことがきっかけでした。当社における女性活躍推進に向けた行動計画を策定することになり、まずは現状を把握するため、十数名の社員(女性、男性、管理職を含む様々な社員)を対象にヒアリングを行うことにしました。
社員一人ひとりに寄り添うために
実際に、ヒアリングを行ってみると、その人の年代や部署、ライフプランによって様々な悩みがあることが分かりました。そのような状況で、一律あるいは一過性の研修などを行っても、個々人が抱える悩みに寄り添うことはできない。形式的なものではなく、実態に沿った取り組みを行うにはどうすればよいか、一人ひとりに寄り添うためには何をするべきか、それらを考え続けた結果、出来たものが女性社員同士で様々なことを相談できる場、「Intelligent Women’s Wave(IWW)」です。
それから、IWWを立ち上げるために、先輩女性社員(30代~40代、業務内容問わず)一人ひとりに「後輩や、今後入社する若手の社員がさらに活躍できるように、IWWメンターとして力を貸してほしい」とお願いしてまわりました。当時協力をお願いした社員のほとんどは自分の業務とは関係ない活動でしたが、「後輩のために」と20名ほどが集まってくれ、活動を開始することになりました。
活動を始めてから、参加者の反応に変化などはありましたか?
後輩社員からは、「組織の垣根を超えた横串の人間関係ができ、安心感が広がった」、「長期的に働けるイメージが持てた」という意見、メンターからは「自身のキャリアを考えるうえでの気づきになった」、「人材育成に対する意識が芽生えた」という、双方からポジティブな意見が集まりました。
その一方で、「助言に自信がない」や「相談を受けた後、先輩社員として適切な行動がとれたか分からない」といったメンターの意見もあり、手探りで役割を担ってもらっていた部分があると分かりました。そのため今後は、メンター同士のコミュニケーションの機会を増やしたり、メンター研修をはじめ先輩社員の自信につながるような取り組みを行なったりして、自信を持ってメンティに助言できる心理的、環境的な基盤を整えていきたいと思っています。
このような地道な活動を行っていますが、会社に良い効果をもたらしていくと確信しており、一つの成果として実際に女性社員の勤続率も着実に上がってきています。
ママパパ社員をサポートするコミュニティ活動
また、御社では育児に関するコミュニティ活動なども行っていると伺いました。当活動について詳しく教えていただけますか?
きっかけはコロナ禍でした。非対面、非接触の状況で、ママ友やパパ友など地域コミュニティから得られていた情報や交流が断たれ、初めてのお子さんを持つママやパパにとっては特に孤独感のある厳しい時期だったと思います。そこで会社として、そうしたママパパ社員をサポートできないかと考え、社内育児コミュニティの活動を開始しました。具体的には、育児に関わる制度説明会の実施や、ママパパ社員同士で交流を深める活動を行っています。この活動をもう少し詳しくご紹介します。
まずは、3ヶ月に一度実施している「産育休制度説明会」です。こちらはこれから赤ちゃんを迎えるプレママ、プレパパ、またその上司に参加してもらい、国の制度と当社で利用できる制度(当社が加入している健康保険組合による給付や、当社独自の休暇付与など)を合わせて説明します。この説明会を通じて、産前の漠然とした不安を少しでも和らげられたら、と思っています。
ママパパ社員同士の交流を深め、悩みを共有・相談できる場を作る
次に、ママパパ同士の交流を深めるための活動も紹介します。これにはいくつかの活動があり、その中から3つご紹介します。1つ目はママパパ同士のランチ会です。社内のコミュニティスペースで集まり、コミュニケーションの機会を設けています。子どもの世代ごとにテーブルを作り、近い年齢で子育て中の社員同士、日ごろの悩みなどについて共有しました。子育て中の本部長が参加することもあり、役職関係なく、和気あいあいとコミュニケーションができています。
2つ目は、産休・育休中の社員を対象にしたオンラインでの懇親会です。毎年秋と春、2回行っています。なぜ秋と春か、というと、保育園を探す保活が始まる時期が9~10月ごろ、復職が翌年の4月ごろなので、その時期にママパパ社員の皆さんに、育児と復職についての情報交換をしてもらいたいと考えたためです。いままで繋がりのなかった社員同士、「お子さんが同級生の育児同期」として親近感をもっていただき、復職しても同じように子育てを頑張る仲間がいる、ということを少しでも感じてもらいたく、この会を開いています。また、先輩ママパパ社員や、出産前の社員にも参加してもらっており、先輩から後輩に、育児のコツや復職に向けて準備したほうが良いものの紹介、初心者ママパパからの悩み相談なども行っています。
3つ目は、グループチャット「パパママの会」というチャネルでの情報交換です。いつでもどこでも相談ができる場として、立ち上がりました。そこでは、お子さんの年齢や趣味も含めた自己紹介や、利用しなくなった育児用品の授受、その他お悩み相談をしています。具体的な相談は「どんな習い事をさせていますか?」、「YouTubeは見せていますか?」といったものです。最近会話が盛り上がったのは、「働くママパパの1日、といったスケジュールが公開されていることがあるけど、現実的じゃないものが多いよね?」「子供を寝かしつけてから仕事して、朝は5時に起きて・・・というのは日常的には難しいかな」といった会話でした。子育てと仕事の両立は各人、各家庭で色々なことを調整しながらされていると思いますが、「皆で共有し頑張ろう!」と励まし合っています。
コミュニティから、ママパパ社員同士が助け合う新たなアイデアも
また、最近ではその「パパママの会」メンバーが発起人となり「IWIこども図書館」が社内の本棚にできました。お子さんが成長され家に眠っていた絵本を先輩ママパパ社員に提供いただき、子育て中の社員のお子さん用に借り受けできるようにしています。絵本には提供者のおすすめメッセージも添えられていて、お子さんや絵本が大事にされていることが分かり、非常に心が温まる取り組みです。
会社からの活動支援、丸山さんの今後の目標
会社から、そうした活動に対しどのような支援がされているのでしょうか?
社長からは、このような取り組みはどんどん実施して欲しい、というメッセージをもらっています。数百人規模の会社に所属していると、日々の業務が局所的になり、自部門や業務関係者以外の社員同士の繋がりを作ることが少なくなっていきます。当社は、「社員一人ひとりの幸せと成長」をバリューに掲げ、多様な人財と価値観を尊重しています。その下地となる「社員同士相手を思いやり、対話すること」ができるようになるための方策の一つとして、この取り組みを続けており、会社からも運営に関する費用面も含め、支援してもらっています。
当社はクレジットカード決済における必要不可欠なシステムを提供しており、社員の7割がシステムエンジニアです。社会的に重要な役割を果たしている一方で、社員は極めて大きな責任やプレッシャーを抱え、業務に取り組んでいます。そのため、無機質な職場を提供するのではなく、社員一人ひとりに寄り添い、働きやすさや働きがい、会社として社員の人生や幸せを応援することこそが、当社が提供するIT基盤の品質向上につながると考えています。
丸山さんの今後の目標を教えてください。
これまでお伝えしたような取り組みは、それ自体が楽しく、前向きになれますし、困っている社員の助けになることは私自身にとって非常にやりがいのある活動だと感じています。活動に共感して一緒に取り組んでくれる、新しい仲間ができることは大変嬉しいことです。今後は、さらに社内外での活動の周知を行い、メンバーとともに様々な方法を模索しながら、賛同する人たちの輪を広げていきたいと考えています。
―ありがとうございました。
製品管理や品質保証を経て、現職。総務業務全般を担当するほか、社内の風土改善や新しい働き方の検討に参画。
また、女性が働き続けられる職場の実現を目的に、女性社員同士で困っていることや感じている課題などを相談できる場として「Intelligent Women’s Wave (IWW)」を立ち上げ、現在約50名の女性社員が参加している。
2児(6歳男の子、3歳女の子)の母。「育休後アドバイザー」の資格を持つ。