妻のキャリアチェンジと第二子誕生で働き方を見直し、バランスの取れたワークスタイルへ ~株式会社伊勢半 小西泰彦さん~

江戸時代の1825年に江戸日本橋で創業して以来、200年におよぶ長い歴史を誇る総合化粧品メーカー株式会社伊勢半。「革新的老舗」をうたう伊勢半では、社員もさまざまな革新に挑んでいます。今回はそのような伝統と革新を大切にする会社で、仕事も家庭も楽しみながら挑戦を続ける方をご紹介します。

小西泰彦さん プロフィール

株式会社伊勢半 コミュニケーション本部 デジタルマーケティング部 デジタルプロモーション課 課長
大学卒業後、WEBの企画制作やSNS関連の広告代理店を経て2019年に株式会社伊勢半へ入社。現在は各展開ブランドのデジタル広告、サイト制作、SNSプロモーション、CRM、ECサイト、D2C等デジタルプロモーションに関連する業務を統括する。

Web制作会社から江戸時代創業の化粧品メーカーへなぜ転職?

貴社の事業内容を教えてください。

株式会社伊勢半(以下、伊勢半)は、2025 年に創業200 年をむかえる総合化粧品メーカーです。もともとは江戸時代に日本の伝統的な化粧品である紅を製造・販売する紅屋として始まりました。現在では、『ヒロインメイク』『ヘビーローテーション』『キスミー フェルム』『キス』『キスミー マミー』など多くのブランドを展開し、幅広い世代にご愛用いただいています。わたしたちはコーポレートブランドKISSMEを掲げ「私らしさを、愛せるひとへ。」の想いのもと、伝統を大切にしながらも革新的な社風であることを大切にしています。

革新的な社風を象徴するような取り組みとして、代表的なものはありますか

この数年メイクを始める年代として多い10代の学生にむけ、自己表現のツールとしてメイクに触れることで、自分らしさについて考えるきっかけを作る取り組みとして「眉毛ホームルーム」「キスミーメイク部」「18歳の成人式」といった活動を行っています。
多くの学校ではメイクをすることは校則で制限されていると思います。しかしながら、大人になり社会に出た途端にメイクをしていることが当たり前、メイクは社会に出るためのマナーといった風潮もまだ残っています。
「私らしさを、愛せるひとへ。」というメッセージを掲げている伊勢半として、学生の皆さんが自己表現のツールとしてのメイクに触れる機会を創り、自分らしさについて考えるきっかけになればと、学校をはじめさまざまな場所で10代の皆さんへ向けたメイク体験イベントを行っています。

200年を迎える企業が仕掛けるイベントとしては画期的でしょうね。

そうかもしれませんが、革新的な挑戦を受け止める社風があるため、前例のない挑戦的な企画でもみんなで力を合わせてやってみよう!と背中を押してもらえる雰囲気はあります。その中心には常にお客さまのニーズを汲み取り、期待に対してひたむきにお応えしていこうとする伝統ある企業であることを垣間見せるような、長年受け継がれてきた職人気質を社風に感じる部分もあります。

小西さんご自身で取り組まれた印象的な取り組みはありますか?

現在ではSNSをはじめデジタル分野のマーケティングやプロモーションは販売促進に不可欠なものになっているので、縁の下の力持ち的な役割で様々なブランド・商品のプロモーションに携わらせてもらっています。SNSをはじめとするデジタル上でのユーザーからの声や動向からニーズをくみ取り、積極的にECサイトの運営や自社ブランドのデジタル広告に活用しています。
また、弊社では代理店や小売店を介した流通がメインですが、メーカーから直接お客様に商品を販売するD2Cのビジネスモデルにも挑戦しています。D2Cではオリジナルブランドを立ち上げ、マーケティングや販売サイトの構築、販売促進まで私のチームが中心となり他部門との連携も深めながら取り組んでいます。
転職前に外側から伊勢半のデジタルマーケティングを見ていて「もっとこうしたら良くなるだろうな」と想像していたことを任せてもらい、実際に取り組めていることは印象深いです。私の仕事の多くはプロモーション活動の大きな骨組みから、足りないところを見つけ出し隙間を埋めつづけるような、小さな蓄積が大切なので、積み上げてきたことによって結果が出ているのはとても嬉しいですね。

最大のターニングポイントは、妻のキャリアチェンジと第二子誕生。

小西さんご自身のご経歴を教えてください。

大学卒業後、Web企画・制作の会社と、SNS関連の広告代理店を経て、2019年に伊勢半に入社しました。
今は、デジタルプロモーションをはじめ、デジタルマーケティングにおける実務を管理職として統括しています。
転職をするときには「挑戦できる」環境の会社を幅広く探しました。様々な企業と出会う中でも、伊勢半がとびぬけて面白そうだと興味を抱きました。「ヒロインメイク」のような遊び心あふれる商品にも現れているように、常に世の中にないものを革新的にチャレンジしてつくっているのが非常に印象的でした。働いている社員の皆さんも楽しそうに私の目に映りました。制作会社や代理店を経た自分にとっては、インハウスのデジタルマーケティングを担うことは大きな挑戦でしたが、良い選択だったと思っています。
家庭から見た自分という意味では、就職してからはずっと寝食を惜しまず仕事に明け暮れるタイプでした。キャリアを追い求めながら20代後半には転職も経験しました。
結婚して第一子が生まれ、ライフスタイルが変化したときも、私はこれまでと変わらず仕事に没頭しているような状況でした。当時は妻が仕事をセーブし、家事・育児を担ってくれていたので、第一子誕生の時は妻に苦労をかけたと思います。

仕事人間!という感じだったのですね。

はい。ただ、その後自分自身のはたらき方と向き合うターニングポイントがありました。第一子が生まれ、妻が職場復帰して2年ほど経ったころです。妻は「自分のやりたい仕事が見つかったので仕事に打ち込みたい」と企業内起業にチャレンジしたいと想いを打ち明けてくれました。
やりたい仕事に打ち込む妻は毎日大変ながらもやりがいがある様子でしたが、ようやく事業化を掴んだ頃、第二子の妊娠が分かりました。妻がどんな思いで挑戦し、一生懸命に取り組む姿を見てきていたので、今度は妻のキャリアを、自分ができる限り応援しようときめました。これからの家事や子育ては平等にお互い協力して担っていくことにしました。もちろん、妻のキャリアを応援し、家族のための時間も大事にしつつ、自分自身のキャリアも諦めずに頑張ってみたいという気持ちが膨らみました。

それは大きな転換点でしたね。

そうですね。その頃には既に伊勢半に入社していて、ワークライフバランスがとりやすい職場環境になっていました。仕事にも会社にも慣れてきた時期でしたが、新たなチャレンジをはじめたような感覚でした。今では家のことは問題なくできますし、ライフワークとしても定着してきて、仕事も家庭も安定したいいバランスが取れるようになりました。改めて第一子のときには負担をかけていたなと感じています。今となっては妻への感謝が尽きませんね。

今は、お互い両立ができている状況ということですね。

そうですね。両立と定義しようとすると難しいところもありますが、家庭も仕事も問題なく順調に回っている状態だと考えています。
そうした点では、毎日妻と分担しながらうまくどちらも回っている状況です。こどもの送り迎えについても、毎日シフトを組んで保育園送迎しています。仕事に集中して残業もする日は朝こどもを送っていき、お迎えを担当する日は朝早めに出勤し定時退社でお迎えに行きます。お互いに仕事とのバランスを取りながらメリハリをつけてやっています。

今後も引き続き公私ともに挑戦しつづけたい

これからの目標はありますか?

仕事でも家庭でも新しいことに挑戦し続け、常に充実感のある日々を送りたいですね。
最近では、上のこどもがバスケットボールを始めたので練習に連れて行ったりしながら応援しています。親心としては、体を動かすことでこどもが礼儀正しく心身ともに健やかに育つようにサポートしていきたいと思っています。
同時に、そんなこどもの姿を見ながら私自身、仕事でもプライベートでも新しいことに常にチャレンジしながら、会社や家族がその良さや力をを発揮できるようサポートをしていきたいと考えています。