目次
はじめに
新人ママ・パパが職場復帰するにあたって、必ずといって良いほど悩むことになるであろう「保育園探し」、いわゆる「保活」。一言に「保育園」といっても、その運営形態や園の雰囲気、保育方針は非常に様々です。だからこそ、「いったい何を基準に園を選べば良いのか分からない!」という保護者様はとても多いです。また、現在は保育園以外にも様々なお子様の預け先があることも知っていますか?
今回の記事では、保育園をはじめとしたお子様の預け先の様々な選択肢や、それぞれの選択肢の特徴、選択の際のポイントなどをご紹介いたします。
保育園選びの代表的なポイント
まずはお子様の預け先として最も代表的な「保育園」をテーマにご紹介します。保育園探し、いわゆる保活をするにあたって、保護者様が重視することの多いポイントとしては以下のようなものが挙げられます。
①と②については毎日の移動やタイムマネジメントに関わることですから、非常に重要なポイントですね。忙しい朝やお迎えの時間を効率的にこなすために、自宅や職場からの動線、移動時間などをしっかりと調べておきましょう。
また、公共交通機関を使った移動が必要となる場合は、行き帰りの時間帯の混雑具合も必ずチェックしましょう。混雑した車内でお子様を見守るのは非常に大変です・・・。
保育園はお子様がほぼ毎日、多くの時間を過ごす場所ですから、③と④の観点もとても重要です。この2つを確かめるためには、園のホームページやパンフレット等で保育方針や園内の様子を調べたり、園見学に行って実際に保護者の目で見たりすることがお勧めです。特に園見学をしてみると、思った以上に園それぞれの雰囲気の違いを感じることができるでしょう。自身のお子様にどんな環境で過ごしてほしいか、しっかりとしたイメージを持つことができると良いですね。
ちなみに、園見学は主に電話で申し込むことができます。申し込みにあたっての必要事項や見学可能な時期などの詳細は、それぞれの園のホームページ等を確認してくださいね。
保育園の様々な運用形態(認可・認可外)
上記①〜④以外にも、実はもう一つ、保育園選びの際の重要な観点があります。それは「園の運用形態」です。
国からの認可がある園と無い園がある・・・というざっくりとした知識をお持ちの保護者様は多いかもしれませんね。まずはこの「認可保育園」と「認可外保育園」について説明していきます。
認可保育園
認可保育園とは、都道府県から認可を受け自治体が運営元となっている園を指します。認可を得るためには、国によって定められた厳しい設置基準(子ども一人当たりの保育士の人数、設備環境など)を達成していなければなりません。そのため、「一定の基準をクリアしている」という安心材料が認可保育園を選ぶ一番の利点と言えるかもしれませんね。また、お子様の受け入れも産休明けの0歳児〜小学校就学前の年長さんまで幅広く受け付けられます。
ただ、上記のようなメリットが大きい分、入園の倍率も高く、希望しても選考に落ちてしまう可能性もあります。入園のための審査基準はそれぞれの自治体によって異なりますが、主に保護者様の「就労状況」「健康状態」「家庭環境(介護・看護の必要性など)」「その他の特別な事情(ひとり親・育休明けなど)」といった要素が考慮されます。
認可保育園ならではの安心感がある一方で、入園までの道のりは負担に感じられることも多いでしょう。
認可外保育園
認可外保育園とは、その名前が指し示す通り都道府県の認可を受けていない保育園のことですが、だからといって保育環境が悪いということでは決してありません。認可保育園と同様、設置にあたっては明確な基準が設けられており、都道府県ヘも届出をする必要があります。
また、認可外保育園は認可保育園と比べて、自治体の制限に捉われないその園独自の取り組みをしていることも多いです。中には、実現したい保育のためにあえて「認可外」としての運営を選択した保育園もあるようです。夜間の預かりが可能な園、独自の教育方針をもった園など、それぞれの保護者様の生活や考え方に寄り添った選択肢が見つかることでしょう。
また、認可保育園と比べて申し込みにあたっての負担が少ないというメリットもあります。倍率も認可保育園ほどではないため、「認可保育園だけ申し込んでいたら全て落選してしまった・・・」という事態を避けるためにも、認可外保育園にも幅広く目をつけておきましょう。
その他預け先の多様な選択肢
現在は出産後の女性の就労が一般的になってきたことにより、上記の「認可」「認可外」の保育園以外にも預け先の選択肢は非常に多様になっています。「お子様の預け先=保育園」と決めつけず、自身の生活や考え方に合った場所を見つけてみましょう。
幼稚園
保育園以外のお子様の預け先として、最も代表的とも言える幼稚園ですが、保育園と幼稚園ではそもそもの運営目的が大きく異なります。保育園は厚生労働省により管理される児童福祉施設である一方、幼稚園は文部科学省によって管理される教育機関です。幼稚園では、小学校就学前の基礎的な能力をお子様に学ばせることができます。
幼稚園に入園できるのは3歳〜小学校就学前のお子様です。また、幼稚園はあくまでも教育機関であることから、保育園のような長時間のお子様の預かりは本来行っていません。
しかしながら現在では、幼稚園においても通常の時間から延長してお子様を預けられる体制が整っている施設も増えてきています。
認定こども園
保育園と幼稚園の機能が合わさった「認定こども園」という施設も存在します。保育園の利便性と、幼稚園の教育的機能という双方の特徴を持っており、保護者様のニーズが多様化している現在、人気が高まっています。
施設によって、保育園の機能に強みがあるのか、幼稚園の機能に強みがあるのかそれぞれ違っていますので、入園前にリサーチしておきましょう。
小規模保育園
小規模保育園は、その名の通り預かることのできる子どもの人数が原則「6名〜19名」と少人数であることが最大の特徴です。落ち着いた保育環境の中で、保育士が手厚く園児たちに関わることができます。預けられるお子様の年齢は「0歳〜2歳」までです。
主に都市部にて運営されていることが多く、比較的新しい運営形態ではありますが、施設の設置基準や保育士の配置基準は一般的な保育園と同等です。
また、小規模保育園にいたことのあるお子様は、その後「認可保育園」に入園するにあたって有利になるというメリットもあります。2歳までは小規模保育園で手厚く保育をしてもらい、3歳からは認可保育園で多くの園児たちとの交流を図る・・・といった計画を立てることもできますね。
企業内保育所
近年では企業の福利厚生として、子育て中の社員向けに「企業内保育所」を設置する事例も多くなっています。保護者様が働くオフィスと保育室が近くにあり、空いた時間にふらっとお子様の様子を見に行けたり、緊急時等にすぐ駆けつけることができたりするのがメリットですね。企業によっては園の利用料がなんと無料というところもあるようです!
ただし企業内に保育所があるということは、必然的に立地も繁華街やオフィス街になることが多いため、登園・降園時の公共交通機関の混雑がネックになりやすいというデメリットもあります。時差出勤・オフピーク通勤などが活用できるのであれば、そのような制度を利用するなどの工夫が必要かもしれません。
一時預かり
保育園や自治体の運営する子育て支援施設等では、1時間単位などの短時間からでもお子様をお預かりできる「一時預かり」制度が展開されているところもあります。事前登録が必要となる施設がほとんどではありますが、登録さえしてしまえば、ちょっとした用事(保護者様の通院、美容院、お買い物など)の間にお子様の様子を見てもらえる有難い制度です。
※利用にあたっては数日前までの予約が必要となるケースが多いので注意しましょう!
上記以外にも、シェアオフィス内に一時預かりルームがあったり、企業によっては土日祝日に出勤する社員向けに託児ルームを設置したりと、保護者様のお仕事を支援する制度は非常に多様になっています。
ベビーシッター
仕事柄「在宅はしているけれど、仕事中は子どもの見守りどころではない・・・」という保護者様や、「毎日の仕事の時間が定まっていない!」という保護者様もいらっしゃるでしょう。その場合、保育スタッフがご自宅まで訪問するベビーシッターサービスの利用も有効かもしれません。保育スタッフが、保護者様のご希望の時間に合わせて柔軟に訪問します。
保育会社によるサービスが中心とはなりますが、自治体によっては格安でベビーシッターサービスを受けられる体制を整えているところもあります。特に産前産後の時期は自治体の支援も手厚い傾向にあり、お子様の見守りだけでなく、母体ケア、育児相談、家事支援などを受けられる場合があります。こども家庭庁でも、保育会社が提供しているベビーシッターサービスに対して割引券を発行する事業が展開されています。
自治体によって支援内容は異なりますので、積極的に自治体の子育て支援情報にアンテナを張っておきましょう。
その他の預かり制度
ここまで紹介した制度以外にも、お子様が風邪などになってしまった時に緊急で預けられる「病児保育」や、保育者の自宅などの手厚い環境にお子様を預けられる「家庭的保育」など、保護者様やお子様のニーズに合わせた様々な保育サービスがあります。
先にも紹介したように、企業や自治体によって独自に子育て支援制度を展開しているケースも多いため、自身が利用できるサービスにどのようなものがあるのか、ぜひリサーチしてみてください。
保活支援制度
ここまで「お子様の預け先」というテーマで様々な選択肢を紹介してきましたが、「選択肢が多すぎて何を選べば良いのか分からない!」「結局何から始めれば良いの?」と、新たな悩みが生まれている方もいらっしゃるかもしれません。
そのような保活の悩みは、一人で抱え込まず以下のような相談窓口で積極的に解消していきましょう!
自治体の相談窓口・子育て支援施設
まず一番に頼って欲しいのは、やはり自治体の相談窓口です。先述の通り、子育て支援制度の多くは各自治体が主体となって展開されており、自治体によって制度内容や必要な手続き・スケジュールも様々なので、ご自身の住む自治体に相談するのが一番の近道と言えるでしょう。
役所だけではなく、自治体が運営する子育て支援施設などでも相談を受け付けていることが多いため、ご自身の通いやすい窓口を見つけてみてくださいね。
保活相談コールセンター
保活に関する相談を受け付けるコールセンターサービスも自治体・民間ともに充実しています。産後の時期は体力的にも大変ですから、わざわざ外出して相談窓口へ向かうのも億劫になりがちですよね。そんな保護者様にとっては非常に有難いサービスと言えるのではないでしょうか。
自治体のコールセンターに相談するのももちろん有効ですが、あえて民間企業が運営するコールセンターに相談するのも良いかもしれません。というのも、自治体の相談窓口では民間の運営する保育サービスに関する案内ができないことも多いからです。認可外保育園や、民間のベビーシッターサービス・一時預かりサービスなどについて情報収集したい場合は、民間のコールセンターが便利です。保護者様のニーズに沿った情報を、コールセンタースタッフが親身になってリサーチ・提供してくれますよ。
民間のコールセンターサービスは、企業の福利厚生として利用できることが多いので、ぜひ調べてみてくださいね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?共働きが当たり前になりつつある現在、お子様の預け先の選択肢は非常に多様になっていることがお分かりいただけたかと思います。ただ、それゆえに「自分と子どもにとってベストな選択って何なんだろう?」と思い悩んでしまうことも多くなりがちです。
お子様が生まれて体力的にも精神的にも大変な中、保活も並行して行うことは非常に負担が大きいことです。決して悩みや負担を抱え込まず、周囲の人達や身近な相談窓口を積極的に頼ってくださいね。
今回の記事が育児を頑張る保護者様にとって少しでもお力になれたら幸いです。
参考文献
・保育サービス業界の動向とカラクリがよ〜くわかる本(大嶽 広展 著;2017年、2021年)
・内閣府「保育の必要性の認定・確認制度」
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/outline/pdf/setsumei5.pdf
・人口減少時代における保育の多機能化 子育て支援・保育の職場環境改革(菊地 加奈子 著;2023年)
①立地、自宅からの距離
②駅、バス停からの距離
③園の保育方針
④園内の様子、雰囲気