在宅・フリーランスという働き方を選択した”働くママ”への「在宅ママインタビュー」。
今回はモンテッソーリ教育の教室を主宰・親子講座を開催されている杉えみこさんが登場。
育児に悩むママ達を代表し、ライター・O山が色々と質問しました。
前編は、杉さんの今までのキャリアや働き方についてお尋ねしています。
目次
杉さんのプロフィール
名前:杉えみこ
職業:モンテッソーリ教室主宰、親子講座開催
お子様の年齢:4歳
居住地:横浜市
杉さんの現在のお仕事内容
モンテッソーリ教室を主宰や講座開催など。
一人でも多くの方に、子どもの発達や子どもの見方を知っていただくこと、また子ども自身の育ちをサポートしています。
モンテッソーリ教育とは
モンテッソーリ教育は、イタリアの女医であったマリア・モンテッソーリが子どもを科学的に観察し、そこから見えた事実に基づき確立された教育法です。
モンテッソーリ教育の目的は「自立していて、有能で、責任感と他人への思いやりがあり、生涯学び続ける姿勢を持った人間を育てる」ことです。
昨今、日本では藤井聡太棋士が幼少期にモンテッソーリ幼稚園に通っていたことで話題になりましたが、世界ではアンネ・フランクや、イギリス王室、ピーター・ドラッガーやマイクロソフト創業者(ビル・ゲイツ)、Amazon.com創設者(ジョセフ・ベゾス)、Google共同設立者(セルゲイ・ブリン、ラリー・ペイジ)、Facebook創業者(マーク・ザッカーバーグ)などもモンテッソーリ教育を受けたと言われており、マハトマ・ガンジーにも支持された教育法です。
杉さんの1日のタイムスケジュール
仕事のある日とない日でかなり変化します。ここ最近の過ごし方です。
7:00 娘と起床。娘と話しながらゆっくりと朝の仕度
9:00~ 幼稚園にむけて出発
9:40 帰宅、仕事開始
14:00 幼稚園お迎え
14:40~17:00 帰宅後、娘と遊ぶ、娘の習い事、夕食準備
18:00~19:00 夕食
19:00~19:30 お風呂
19:30~20:00 寝る前の遊び
20:00過ぎ 娘就寝
20:30頃~2:30 仕事(資料作成、オンライン講座等)
杉さんのこれまでキャリア
➖杉さんのこれまでのキャリアを教えてください。
2003年に入社して、産休と育休を合わせて3年3ヶ月取得し、勤続16年で退職しました。
退職するまで私は夫と同じ会社に勤めていて、銀行システムを担当するIT営業をやっていました。ITシステムは生き物です。仕事量も多かったですし、トラブルも予測できません。だから、プライベートの予定を立てることが難しかったです。
今の仕事を始めたきっかけ
➖今のお仕事を始めたきっかけはなんでしょうか?
育休取得前は復職するつもりでいましたが、親の介護が必要となったことがきっかけで働き方を模索していました。
仕事自体は社会的責任が大きく、残業や出張もあったため、プライベートを優先するには社内での協力がかなり必要になると思っていました。プライベートの事情は会社に話していたので、そういった事態に対応する準備はされていたのだと思いますが、仕事の合間をぬって遠方に介護帰省する生活は、体力面や精神面において、自分がどこまで持つかわかりませんでした。
そして何より、一日でも多く親といたい気持ちが大きく、退職を決めました。
それと同時にモンテッソーリ教室をはじめる準備もしていたので、退職と並行して教室や講座をスタートしました。また、夫が、「やれるうちにやりたいことをするのがいいよ」と応援してくれて。資格取得にかかる費用をすべて出してくれたということもあり、後に引けない気持ちになりました。
➖どうして今のお仕事をしようと思ったのですか? 不安はありませんでしたか?
妊娠した時にはモンテッソーリ教育を知っていたため、仕事をしながらモンテッソーリ教育に関する書籍を読んでいました。
そのときは、モンテッソーリ教育の教員になるなんて、想像もしていませんでした。けれど、子育てについて情報を集めるうちに、体系的かつ継続的に子育てや親の在り方について学びたいと思うように。
復職しようと考えていましたが、母親の状態が悪くなっていったこともあって…。復帰は難しいなと思っていた時に、周囲の人たちの「母親はこうあるべき…」という育児根性論の圧を感じて(笑)。根性論に確固たる証拠はないし、違和感を感じた中、モンテッソーリ 教育は理にかなっているなと思いました。そして私がモンテッソーリ 教育を学んで周囲の人たちに伝えたいと思うように。
元々地球環境をはじめとする社会問題に興味があったのですが、これらの解決の糸口は教育にあるのでは、と考えていました。特に幼少教育の重要性を感じていたので、一層モンテッソーリ教育を学びたくなりました。
モンテッソーリ教育の目指す自立した子どもによる平和社会の建設は、私の問題意識とも合致。
そして幸せな子どもが幸せな未来をつくってほしいと願いから、この仕事をすることにしました。
➖生きがいのように感じたのでしょうか?
そうですね!モンテッソーリ教育の勉強にもどんどんハマっていきましたしね。元々読書が好きですし、そして問題解決の糸口になるかもしれない、と思いました。モンテッソーリ教育は認知症にも良いと言われていますし。生きがいとまではいかなくても、勉強は楽しくやっていましたね。
➖どうやって勉強や育児、家事のバランスをとっているのでしょうか。
気力や体力、計画、学びと実践、ママ友、友人の支え、娘の協力、専門家の方のアドバイスで成り立っていると思います。
私の仕事内容と育児は非常に近いため、思考のほとんどは子どもの発達に関することに使っています。それでも文章を書き、集中して考えたいときは、細切れの時間ではなくまとまった時間がほしいと思いますが、幼稚園以外はほぼ娘と一緒にいるため、まとまった時間はとれません。それでも、私の中での優先順位(子どもの成長)がバランスをとるための軸となっているので、育児を最優先にしています。どうしても仕事の時間としてまとまった時間が欲しいときは、娘が寝てからの時間を仕事に充てています。
家事はスキマ時間内でとても簡単に済ませていますよ!
➖具体的にはどのように勉強されていたのでしょうか?
モンテッソーリ教育の教員の資格を取得できるところが日本で3カ所あります。私は最初、民間団体で0~3歳の子どもを対象とした講師の勉強をし、その後2年間の教師養成コースを修了し、現在2歳半〜6歳の子どもも対象として活動しています。
また、この2年間で、他の教育法や子どもの保育に関しても勉強しました。
2年間で取得したスキルは、チャイルドマインダーや、育児セラピストの1級の他、教育の観点からレッジョエミリアアプローチ(指導者の基礎講座)を修了、また親子関係を見つめるためのアドラー心理学に基づく子育て(パセージ、育児学習コース)も修了しています。最近では「自分でできる子に育つほめ方叱り方」という本の著者である先生による、ほめ方叱り方のトレーニングを受け公式プラクティショナーになりました。
また、子どもの日々の生活を整えることが親子関係の信頼構築にもつながるルーティンというメソッドも学んでいます。
すべてには“子どもの見方”の習熟と“子どもの真の理解者になる”という軸があり、私にとっては一本の線でつながっているため、継続的に学習しています。
フリーランスという働き方について
➖在宅(フリーランス)でよかったことは?(働いていてよかったことは?)
私自身の事情があったので、仕事の幅が広がる在宅はいいなと思います。ただ、子どもの年齢にもよるかもしれませんね。
パパが在宅勤務で、テレビ会議をするからということで、ママが炎天下の中2歳くらいのお子さんを外へ連れ出さなくてはならない…という状況もあるようなので、必ずしも在宅勤務が良いとは言い切れないかもしれません。
在宅という勤務が浸透しつつある今、結婚した当初夫婦で決めたルールのように、このwithコロナ時代に合った家族のルールを作っていく必要があると思います。日曜日の延長のような毎日にしてしまうと、うまく行きませんよね。
在宅で働くと、自分の大切にしているものに集中できます。プライベートもそうですし、仕事においても、私が大切だと思っていることを扱えています。
また会社員時代は、お客様の要求にこたえることを最優先としてきました。ITシステムを担当していたために、システムトラブルが起きるとプライベートどころではありませんでした…。
しかし、フリーランスは自分の人生の優先順位に沿って、時間も行動も働く場所も決めていくことができ、コントロールできることに集中するということができています。
また、子どもが働く親という一面を見ていることも在宅の特徴かと思います。私自身が学ぶ姿も、夜、オンライン講座で話す姿も娘は見ているので、「働く」ということがいかに真剣なものかを理解しているように思えます。その時に優先すべきことが何かを一緒に考える機会にもなっているような気がします。
➖在宅(フリーランス)で困ったことや大変だったことは?(それをどう解決していったか?)
夫が単身赴任で自宅にいないため、幼稚園の時間以外は私一人で娘を見ています。
私が講座を受講したいとき、開催したいときは、頼れるママ友に協力を要請していますが 都合が合わない時はベビーシッターを利用しています。それでも誰にもお願いできない時は、モンテッソーリ教室に娘を連れていきます。母子同室クラスでは、娘も他のお子様と同じように母親である私と活動したがるため、私の対応が娘にいくこともありますが、参加されている方たちの温かい目に救われているのが実態です。
また私のまわりは未就園児、もしくは娘と同じ年の子育て真っ只中の人が多く、そんな中で私の活動を応援し、協力していただいていることには感謝してもしきれません。
後編に続きます!
【杉さんの教室URL】