育児ストレスをなくす!地方移住をした私が起業家として叶えたいこと・前編

猪原さん画像

在宅・フリーランス・起業といった、”自分らしい働き方”を選択した働くママへの「在宅ママインタビュー」。
今回は元webマーケターで、2019年に大阪市内から和歌山県かつらぎ町へ地方移住され、無添加グミの開発や観光農園事業の立ち上げをされた農業起業家の猪原有紀子さんにインタビューをさせていただきました。

猪原さんのプロフィールと1日のスケジュール

プロフィール

名前: 猪原有紀子
職業:農家
お子さんの年齢:6歳 5歳 2歳
居住地:和歌山県かつらぎ町

1日のスケジュール

7:00 起床、朝食支度
8:00 家族5人で朝ごはんを食べる
8:30 子ども3人保育園へ!
9:15 仕事スタート!
13:00 ~ 13:15 お昼ご飯 パッと食べます。
13:15 ~17:45 残りの仕事
17:45 お迎え
18:00~ 夕飯支度、家族の時間
22:00 就寝

猪原様の以前のキャリアについて

猪原様の今までのキャリアを教えてください。
私は新卒で大阪にあるWEBマーケティングの会社に入社しました。約90人の同期がいましたが、その中の2人が赤字会社出向となり、私はなんとその1人に任命されたんです。
広告で入社したのに…と思いましたが、出向先での仕事がとても面白くて。
新卒の私に課せられたミッションというのが「赤字会社を再建せよ」だったんです。その会社には100人ほど在籍していて、当時の副会長だった方と先輩社員2人ともう1人の同期と6人のチームで再建に行く、という感じでした。
そこで通販事業部を立ち上げ、3年かけて売り上げ0円だったのを月商3,000万円まで到達させ、黒字化…というキャリアを歩んでおります。
売り上げは徐々に上がっていく…という感じでしたね。
新卒って、仕事についてなにもわからないじゃないですか。赤字会社を黒字会社にする!というミッションを前に、自分の持っている知識では無理だな、となりました。
そこで経営を学ぼうと思い立って、働きながら大学院に通いました。
授業がある日は仕事を終わらせて通っていました。週に1、2回で土日中心ですね。最終的にMBAを取得したくなったので、大学院に入学しました。
その後、転勤、遠距離結婚、妊娠悪阻と様々重なってしまい、中退しました。

売り上げが3,000万円を達成する3年間の間に、結婚や妊娠もされたのでしょうか?
黒字化でき、この会社を売却しようという話が出たタイミングで東京転勤とになりました。プロポーズの翌日に転勤を言い渡され、遠距離の間に入籍。その期間は大体半年くらいでしたね。それから間もなく長男を妊娠しました。しかし、妊婦の1〜2%で診断される「重症妊娠悪阻」という治療が必要なとても酷い状態になってしまったんです…。実家に戻ることになりました。妊娠7ヶ月まで寝たきり状態になりました。体重も激減し、毎日100回くらい吐くし…とても大変でした!子どもは3人いますが、妊娠時期は全部大変でしたね(泣)。

前職に就業中の時に出産や育児をスタートされましたが、どのようにして仕事と育児を両立させていったのでしょうか。
両立なんて…できませんね(笑)!大阪に住んでいた頃は、母親に手伝ってもらいました。長男と次男は年子なので、長男の産休から次男の育休まで休みました。なんとか復帰できましたが、このままじゃ生活が立ち行かなくなると思い、母親用に3畳一間のマンションを借りて、そこで寝泊りしてもらいながらケアをしてもらう…という生活をスタートさせました。大人3人で子ども2人を育てていましたね。

復帰後は、時短勤務に切り替わったのでしょうか?
最初はフルタイムで働きたいと思いました。会社の人から時短の方が良いのでないか、と提案されました。
時短勤務になると給料が減るので保育料で赤字になるんですだから、なんとしてもフルタイムで働きたかったのですが…。
そういう経緯があって、途中からフルタイムにしましたね。
大阪市内は待機児童が多く、息子たちも違う保育園になりました。
もう時間がなさすぎて、自転車で朝ごはんを食べさせていました…!
当時のことは忙しすぎて記憶が残っていないのですが、唯一思い出す事があります。
私、いつも子どもたちに怒っていたんですよね。会社へは9時までに行かなくてはいけなかったので、遅刻したくない一心で怒ってしまうのです。子どもは泣くけれど、その状態で保育士さんに引き渡していたんですね。そんな日は、仕事中、どうしてあんなに怒ってしまったんだろう…と落ち込んでしまう…というサイクルがとても嫌でしたね。

猪原さんの仕事風景

フルタイムに戻った時、残業はどうしていたんでしょうか?
定時に帰宅していました。
けれど8時間勤務でずっと会社にいなくちゃいけないのが苦痛すぎて…。
ママ社員たちがみんな言っていたのが、「リモートが導入されたらいいよね!」でした。(現在はコロナ禍の影響もあり、導入されたようです。)
全員が口を揃えて言っていたけれど、あの頃はリモートの導入は検討はされていたものの、実際に適用されるのはまだ先という状態でした。

リモートワークが普及されていたら、前職を続けていたと思いますか?
こればかりはわからないんですよね。大阪にいたままなら、私は退職していなかったと思います。
大阪から離れたからこそ、退職を選択できたんだなと思います。
私自身、会社は辞めてはいけない、という気持ちがずっとありました。育った家庭環境が影響しているのかもしれません。会社へ恩返しができていないのに、転職なんてありえない!と思っていましたからね。

驚くほど多忙ですけれど、お母さんに手伝ってもらう以外にベビーシッターや民間の制度は利用しなかったのでしょうか。
しなかったんですよね。だからこそ、産後うつ一歩手前…という精神状態になりました。
毎日泣いていましたし。休みなくただただ、長男と次男の要求に答えるだけの日々が辛かった。産休や育休中は今まで培ってきたスキルが自分からポロポロとこぼれ落ちるような…そんな感覚になっていました。
夫が仕事の話をしてくれるんですが、よく「ずるい〜!」と言っていましたね。私も仕事がしたい!そう言って泣く。そんな日々を過ごしていました。

産休と育休はどれくらい取得されましたか?
産休に入る前につわりが酷くて傷病手当をいただき、寝たきり生活でした。それから産休と育休を合わせると2年半くらいですね。
あの時はトイレも行けない、ご飯も座って食べられない、年子の男の子を連れての移動…慌ただしくて当時のことは思い出せないくらい(笑)。

その当時、旦那さんは育児にどれくらい参加されていたのでしょうか。
仕事から帰宅したら、おっぱい以外はぜんぶやります!といった感じでしたねそして、必ず大変だったね、今日もありがとうね、と労ってくれました。毎晩、私たちが翌朝に食べるお味噌汁を作ってくれました。私の精神状態がひどかったので、夫は出来る限りのことをしてくれたと思います。

猪原さんの現在のキャリアについて

猪原さんが暮らす風景
猪原さんが子どもたちに残したい風景

移住という、思い切った方法で働き方や生活前半の全てを変えられましたが、移住や今の仕事にたどり着いたきっかけを教えていただきたいです。

かつらぎ町に遊びに来た時、夫がかつらぎ町の山に、一目惚れをいたしまして(笑)。それは長男がお腹にいた7年前のことでした。私と夫は大阪勤務でしたし、いやいやそれはないだろう…と思っていましたけどね。

子どもが1人目、2人目と生まれる中で私自身、今の働き方には限界がある…と気づいたんですよね。
元々私は変化が好きなので、まるで留学するような気持ちで移住したんですよ。それでも会社は続けるつもりでした。移住した時期はちょうど三男が生まれて1ヶ月後でした。

地方移住をした時は通勤することを考えていたんですね!
自分でもびっくりしますが(笑)。田舎では住所に応じて決められた保育園に入園するのが普通ですが、大阪へ勤務するつもりでいたから、高速の乗り口に近い保育園に預けましたからね。
…だったんですけれど、三男を抱っこしながらかつらぎ町の山を見ていたら、
「この自然を子どもたちに残してあげたいな。」
「私は、子どもにとって良い社会を作っていきたい」
という気持ちが溢れてくるように。

周りの人たちからは、「田舎ってどう?人間関係不便じゃない?」なんて質問をたくさんされました。みんな私たち家族の選択に興味津々でした。

移住してからは子どもたちが朝、起きるなりすぐにお庭へ飛び出し、庭でちょうちょを捕まえる…というのが日課になりました。カブトムシやくわがた、蛍までいる。この豊かな環境に感謝しています。
この豊かさを都会の子どもたちに気軽に味わって欲しい、そう思いましたね。

移住生活について

移住して困難なことはありましたか?
その質問、よく聞かれますね(笑)!

どちらかというと都会に住んでいた方が不便だったなって思うことばかりですね。
私の場合3人も子どもがいるからかもしれません。ありがたいことに保育園のママ友がめちゃめちゃできたんですよ。
保育園の後にお友達の家に遊びに行って、帰りも送ってもらうなんてことも。一方的ではなく、お互いに子どもを行き来させているので、「みんなで子育てをしている」という感覚があります。
移住してから、たくさん良い出会いがありましたね。

庭でバーベキュー
自宅でのBBQするのが癒しの時間だそう。

移住して良かった点と悪い点を教えていただきたいです。むしろ悪い点はないような…(笑)
悪い点は本当にありません(笑)!
移住したての時には、子どもの教育の選択肢がすごく少ないというのもありました。ただ、今は英語教育などもタブレット学習という方法で解決できるなと思いました。
子どもたちはもう野生児すぎる…!というくらいたくましく育っています。
移住後、テレビをなくしたんですよ。
段ボールを使ってガンダムの作成など、ハサミとのりとセロテープで必ず毎日何か工作していますね。

元々かなり協力的だった旦那さんですが、地方移住されてからも変わらないですか?
寝る時に、パパとママが別々に暮らしたとしたら、どっちについていく?と尋ねたら、長男と次男はパパについていく!と言いました(笑)。3男だけママって言ってくれました。
それだけ、パパがメインで子育てをしてくれています。
自然が好きだから外遊びに連れて行ってもらえるのも嬉しいみたい。休みの日は裏山に男たちだけで2時間くらい散歩をしています。現在、夫はテレワークに切り替わったので在宅しているんですよ。ただ、1日中テレビ会議…なんてこともあって、夕方まで話しができないということも。でも家にいるっていうだけで安心できるからめっちゃ助かります。

後編に続きます!

猪原さんinformation
▼LED関西2021 オーディエンス賞を頂きました!
 
▼NHKに出演しました!
★2/24 関西ぐるっとおひるまえ 11:30〜11:54
★2/25   ギュギュっとわかやま  18:30~19:00
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